2004 Fiscal Year Annual Research Report
多民族社会における多民族共生教育と民族教育の整合性に関する比較研究
Project/Area Number |
15530545
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹熊 尚夫 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (10264003)
|
Keywords | 多民族社会 / 多民族共生 / 民族教育 / イギリス / イスラム学校 / 中華補習校 / 中国 / 朝鮮族学校 |
Research Abstract |
本年度は3カ年の研究・調査の第2年度にあたり、以下の研究を行った。 1.前年度末の京都の朝鮮学校関連調査の整理:前年度収集した教科書・校内写真・資料等の朝鮮語の翻訳を行い、日本における民族学校の研究に関する最新動向の把握とこれまでのデータの補充を行った。 2.多民族の共生教育と民族教育の整合性に関する先行文献・データ収集と研究:学会等で民族教育、市民性教育に関わる関連領域の最新動向につい情報を収集した。また先行研究文献を収集し比較の枠組み作成に向けての検討を行った。母文化を代表する「地域」、「ルーツ」という個別性から、「国家」レベル、国際性・普遍性というレベルのそれぞれにおい「市民性」の概念やアイデンティティの関連性(民族-国籍-母国・国際)は異なる。特に国家レベルでは、マイノリティは言語が複数化するか、置き換わり、格付けられ階層化される状況があるが、一方で普遍レベルの概念は拡張しておりその中で地域性や個別性との融合が見られている。今後、諸概念の関係図を作成する。 3.英国における民族学校と公教育に関する調査:11月においてロンドンでの中華補習校とバーミンガムにおけるイスラム宗教学校、関連のコミュニティ、私的支援組織、公的支援組織にも訪問する中で資料等を収集した。それぞれの学校が移民の流入とコミュニティの形成の中で生成してきた経緯と公教育機関(OFSTEDや地区福祉局等)と連携しながら存続していることが明らかとなった。イスラム宗教学校では米国製の英文のイスラム教の教科書等も入手し検討中である。 4.中国における朝鮮族民族学校とコミュニティ調査:3月中旬に短期で中国青島において朝鮮族の民族学校及び朝鮮族コミュニティ、朝鮮経済情報雑誌社、朝鮮族協会を訪問調査する。最大級の多民族国家の中で、経済的・学力的にも恵まれる朝鮮族の民族教育の理念と国家へ摺り合わせを把握する。
|