2004 Fiscal Year Annual Research Report
高校生文化の多様化と進路形成の変容の研究-臨教審前と多様化政策後と現在の比較から
Project/Area Number |
15530550
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
樋田 大二郎 聖心女子大学, 文学部, 教授 (80181098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩木 秀夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90114389)
耳塚 寛明 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (40143333)
苅谷 剛彦 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60204658)
金子 真理子 東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 講師 (70334464)
大多和 直樹 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (60302600)
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Keywords | 高校 / 生徒文化 / トラッキング / 多様化 / メリトクラシー / 進路形成 / 学力 / 社会参加 |
Research Abstract |
本研究では、日本、シンガポール、英国を対象に昨年度までに実施したデータの再分析およびシンガポールと日本を対象に新に訪問聞き取り調査を実施した。本年度は、専門学科高校(シンガポールではInstitute for Technical Education)に焦点を当てている。 昨年までの調査で明らかになったように、シンガポールは、競争参加への機会均等をすべての国民に対して保証する(努力が報われることを保証する)/競争の結果に基づいて地位配分を行う/競争の内容(学習の内容と方法)を明示化し納得させる/競争の内容(学習の内容と方法)を「学問中心」ではなく、生徒の興味、企業からの要請や国際社会からの要請に応じたものにしている/競争の内容(学習の内容と方法)が卒業後の生活と結びついていることを生徒に認知させ、納得させる、などの教育政策を採っている。 今年度の、教師対象聞き取り調査および生徒対象聞き取り調査の結果では、シンガポールの専門学科高校は産業界との親密なコミュニケーションを持っており、授業内容が実践的かつ体験的である。生徒は授業内容に対して興味と楽しさを感じており、学習への取り組みが学習時間を含めて積極的である。そして、高校時代に明確な職業上の目標を形成し、なおかつ、生涯学習への動機付けも形成される。 これに対して、日本の一部の専門学科高校は、生徒の興味関心の掘り起こしや進路指導を通しての学習の動機付けに失敗し、大量の退学者を生み出している。しかし、われわれの調査では日本でも部活動その他の生徒指導を通して態度・価値を初めとした訓練可能性を育成する伝統的な専門学科教育を維持している高校に加えて、地域の産業界の要請や大学の指定校推薦の対象高校への要請に応えて、役に立つ能力、即戦力の能力を育成することで新しい時代の要請に応え、生徒の学習意欲を高めている高校が存在している。後者の高校に於いては、オープンキャンパスや中学・高校訪問、パンフレットの配布など外部に対して積極的な広報活動を行っている。さらに、地域に於ける技術・技能の維持や革新に取り組んでいる。
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Research Products
(3 results)