2004 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムの基礎教育政策形成における援助機関の役割に関する研究:日本の役割を中心に
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15530554
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Research Institution | Tokyo Jogakkan College |
Principal Investigator |
上別府 隆男 東京女学館大学, 国際教養学部, 教授 (50350707)
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Keywords | 援助協調 / ベトナム / 教育セクター / Education for All / 初等教育 / 教育政策 / オーナーシップ / パートナーシップ |
Research Abstract |
7月、ベトナム・ハノイにおいて多国間・二国間政府援助機関及びNGOを対象に1週間データ収集を行った。9月には日本教育社会学会56回全国大会(東北大学)、11月に第15回国際開発学会全国大会(国際協力機構)、また3月に米国スタンフォード大学で開かれた北米比較国際教育学会において成果を発表。加えて、国際基督教大学教育研究47号(3月刊行)に論文を発表した。得られた結論は以下のとおり。 (1)ベトナムにおける組織的な援助協調は、他の多くの途上国と同様Consultative Group(CG)Meetingを中心に行われている。CG Meetingに統括される形で、セクター・ベース協調としてのDevelopment Partnership Groups(20数グループ)と、ドナーがそれぞれの開発志向に基づき形成する5つのドナー・ベース協調・調和化グループ(5開発銀行グループ、Like-Minded Donor Group、国連グループ、EU、及びJICA)。 (2)教育セクターにおける援助協調は、1994年の米国の経済制裁解除後に西側による援助が本格化してから2003年までの10年(「旧万人のための教育(EFA)行動計画)時代)と、「新万人のための教育(EFA)行動計画」が策定された2003年7月以降の2期に分けて考えることが可能である。両時期における協調の概念的枠組みとしてはEFAが中心であった。第1期においては、上記のDevelopment Partnership Groupsの一つとしてのEducation Forumが存在したが、意見交換の場に過ぎず積極的な意味での協調までは到達していなかった。第2期においては、新EFA行動計画を弾みとして協調の必要性を感じていた欧米ドナーが中心となりEducation Sector Groupを発足させ、ベトナム総合貧困削減成長戦略文書及びミレニアム開発目標で謳われた貧困削減という目標をも念頭に置きつつ、前期中等教育も新たに加えた新EFAの達成のために教育セクター開発支援のための協調努力を行ってきている。共同出資の貧困者対象のプロジェクト策定や特定財政支援、セクターワイドアプローチの活用など積極的な協調が始まっている。このEducation Sector Groupを通じた協調プロセスにおいては、政府のオーナーシップを尊重とするという考えから、教育訓練省にリーダーシップを期待してきたが、協調が欧米ドナー主導ということもあり、省側は内部の調整不足も手伝って及び腰という形容が適当のようである。
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Research Products
(2 results)