2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530589
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
棚橋 尚子 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (20272271)
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Keywords | ルビ / 交ぜ書き / 学習負担 |
Research Abstract |
研究2年目の本年度は、研究テーマである漢字習得時のルビの有効性の解明に向けての調査方法を検討するとともに、文字の習得方法や、習得実態が教科書レベルでどのように扱われているかを中心に有識者に意見を伺ったり、文献を調査したりしながら、以下の点を明らかにした。 (1)教科書におけるルビ提示 現行の国語教科書、戦後の国語教科書、他教科の教科書、戦前の読本等におけるルビ提示の実態を分析した。現行の国語教科書では交ぜ書きを避けるための措置として、以前に比して熟語にルビを付す傾向が強くなっていた。他教科の教科書については、教科ごとの特徴があり、家庭科などの日常語を多く提示するものについては、交ぜ書き表記も健在であった。語彙が平易な場合、交ぜ書きにしても意味把握がしやすいためであると考えられる。一方、特に社会科は固有名詞を中心にルビが多く付されていた。ルビが多いことは、漢字が多いということを暗示しており、特に漢字に苦手意識のある学習者の学習意欲を削ぐことになっていないかが危惧される。これに類する分析は以前にも実施したことがあるが、今回さらにその感を強くした。 (2)漢字習得時のルビの有効性に関する調査方法の検討 教科書の文章を使ってルビを付した文章を読む群と、付さない文章を読む群、交ぜ書きにした文章を読む群を作り、何回か読ませた後に漢字を書くテストをする方法を考案した。実際の調査は次年度に行う。 (3)日本語教育における漢字指導 日本学習者の多いインドネシアにおける日本語指導について、インドネシア大学などの授業を視察し、資料を持ち帰った。ルビを使用しないで1字1字習得していく方法は、国語科教育の漢字習得方法と類似しており、日本国内の日本語教育における漢字指導とは様相を異にしていた。この視察からルビがなくても1字1字を着実に把握させることが、漢字習得には重要ではないかという示唆を受けた。
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