Research Abstract |
本研究は,小学校・中学校と大学情報教育,日本と韓国の情報教育の関係をみながら,高等学校教科「情報」について,評価調査項目をブルームの教育行動目標理論を基本として再検討し,カリキュラムを開発・研究することを目的とした。 平成15年度前半まで,高校・大学において,複数校(延べ1199名)で継続して情報教育内容を比較・調査し,併せて教科「情報」と代替科目「情報処理・情報技術基礎」の学習内容についても,カリキュラム内容と評価を検討した。 その結果,高校では,『・各種ソフト活用能力の向上を重視,・技能とコンピュータの活用技術の関連性を考慮した内容が必要,・情報活用力(例:情報の収集・整理やプレゼンテーション利用法など)充実が必要,・情報モラルを重視した内容が必要である。』という結果が得られ,大学では『・情報教育の技能面のカリキュラムに要検討,・著作権・プライバシー等の情報倫理やモラルの注目度は高い,・「情報に関する技能」の「利用技術」と「構成力」の育成には,前学校段階で学んできた初期動機付けとより高次の動機付けの連携した授業展開が必要であるが,この点が何れの大学にも不足していると考えられる,・「知識・理解・技能」の到達度の意識は,高校での到達度意識より低い。』という検討結果が得られた。 先行研究の『学習者個人や集団の学習定着度と学習評価,情意面・技能面と教科指導力,「興味・関心・意欲」と「リテラシー」の関係を客観的に判断可能』であることを前提とし,評価項目をより普遍化し,ブルームの教育目標を基本にした教科「情報」の各学校段階の教育内容の充実を図ることとした。よって,今後は韓国の小学校・中学校・高等学校の情報教育と日本の情報教育の比較調査により情報教育の基本となるリテラシー・技能・知識等の要素を視野に入れつつ,自己評価法,「精神運動,認知,情意面」と「知識・理解,技能,興味・関心・態度」の各観点を主とする情報教育教授とカリキュラム編成の情報を得るものである。その中で,精神運動面の技能とその学習心理について,情報科と関係する高校工業科,中学校技術科にも注目し比較検討する。 また,小学校・中学校・高校・大学の情報教育の連携の中で,「精神運動,認知,情意」の各領域と,そこに包含される「技能,知識・理解,態度」のより正確な意味と教育目標との関係について研究し,併せて諸外国の評価方法と学習者の実態について比較検討を行っていく予定である。
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