Research Abstract |
本報告書は,過去12年間の実践の中で,情報教育での学習者の学力向上,教師と生徒・学生の関係についての客観的な分析方法を研究の発端とし,カリキュラム内容の検討・評価と併せて諸外国の調査を含め,体系的情報教育について比較検討したものである。 情報教育の目標には,問題解決能力の基礎段階を重視した内容が必要であり,その評価方法は,統計手法の活用による,相互評価とポートフォリオ評価,学習活動は,生徒・学生の基本的な知識とその育成過程,動機付けとしての興味・関心という面が繋がったとき,大きな成果となることが示唆された。その上で体系的な情報教育について考える必要がある。 具体的結果は,高校では「コンピュータリテラシー能力を重視,情報活用能力の充実や情報モラル教育が必要」,大学では「技能面のカリキュラム充実」と同時に「情報に関する理解力・知識・技能」に関してのカリキュラムを検討する必要があることがわかった。 一方,韓国・中国では,1999年頃から小学校高学年より,基礎基本から創造性育成までの段階を,手-脳-思考-技能の連携による反復訓練によって,情報教育と「ものづくり」の連携を行い,大変注目すべき学習効果を上げているため,さらに調査する必要がある。なお,1970年以降,技術・技能の明確化へ向け多くの報告があるが,清原,松崎(1999)らも示すように明確な定義はない。同様に,授業方法の類似する情報教育の技能の定義と明確な評価法も今後の研究に待たれている。 今後先の事項を解決すべく,小学校・中学校・高校・大学の情報教育の連携の中で,「精神運動,認知,情意」の各領域と,そこに包含される「技能,知識・理解,態度」の具体的意味と教育目標との関係について,第2に「情報教育の標準化」へ向けてアジア諸国と,我が国の評価の観点と学習レディネス,評価方法と学習者の実態について,各々調査・検討する必要があると考える。
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