2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530608
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Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
久富 さよ子 中村学園大学短期大学部, 幼児保育科, 教授 (50078549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松園 聡美 中村学園大学短期大学部, 幼児保育科, 助手 (20360323)
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Keywords | 幼児 / 音楽教育 / 民俗芸能 / 保育科学生 / 文化 / 遊び / 祭り / 地域 |
Research Abstract |
日本の伝統的な音楽文化と保育の関わりを明らかにし、将来、保育者となる学生に何を伝え、学ばせるのかを検討するために実践を通した研究を行ってきた。その結果次のような研究成果を得た。 1 仕舞、地唄舞等の調査 日本の伝統芸能のなかから仕舞、および地唄舞を選択し、継続的に実践をともなった研究を行った。調査の結果、保育との関連のもとに次のような観点が考えられた。まず日本の伝統芸能はそのほとんどが歌、器楽、舞いのように分化して取り扱われるものではなく、総合的な音楽の形態をもつ。従っていずれが欠けても音楽としては不完全であると考えられる。この形態は子どもの音楽にその原型をみることが出来るのではないだろうか。何故なら子どもは遊びの中でごく自然に言葉を節にのせて歌い、言葉や動作からリズムをつくり出している。 また日本の舞はゆっくりしたテンポで表現されるものが多く見られる。ゆっくりしたテンポに動作をのせた時、人は動作を丁寧に味わうことができる。さらに舞の動作のひとつひとつには思いが込められ、情景が描かれている。学生に見られる問題のひとつに心の思いと動作が一致しない傾向がみられる。子どもと信頼関係を築くうえにおいても保育者の思いが動作として表現されることは重要である。さらに日本の舞は腰を低くし、重心移動を行う。腰を据えた動作は心の安定につながる。舞は人に安定した心と体の状態を導くものであるように思われる。 2 民俗芸能の調査 今年度は富山県八尾町における祭りや兵庫県明石市における子どもの伝統文化教室の取り組み等を調査した。八尾町における「風の盆」は町全体が音楽的な空間になっていることを感じた。子どもの伝統文化教室においては地唄舞や仕舞、その他がとりあげられたが、子どもがそれらに興味をもち、とらわれなく受け入れている姿から、改めて日本の伝統的な音楽に対する意識は、大人の側が変えていく必要があると感じた。 3 授業実践その他 その他授業においては、和太鼓や民俗芸能の実践を行った。「表現音楽」の授業における沖縄の民俗芸能「エイサー」の実践とその成果については学会誌に投稿し、掲載された。現在調査結果に基づきながら、保育者として子どもの心に近付くための方法を伝える内容を著書として執筆中である。
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