2003 Fiscal Year Annual Research Report
重複障害者相互のコミュニケーションの促進に関わる援助の在り方に関する実践的検討
Project/Area Number |
15530614
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川住 隆一 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20124208)
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Keywords | 重複障害 / 重症心身障害 / コミュニケーション / 通訳 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第1に、重症心身障害児病棟で生活する重度肢体不自由を有する障害者が、個々に適した意思表出手段を獲得するとともに、仲間への話題提供の基盤となる生活経験を拡大し、その経験内容を保持していくことを助ける方法を明らかにすること、第2に、重複障害者相互のコミュニケーションの場(仲間同士の会話のために用意される場)における援助者の役割(司会・通訳者としての役割と参加者としての役割等)を明らかにすることである。 対象は、同じ病棟で暮らす年齢30歳〜51歳までの成人者5名である。本年度においては、第2の目的に関する取り組みが主として行われ、この過程で目的1に関する試みも実施された。すなわち、仲間同士の会話のための場が1か月に1回程度設けられ(本年度8回、前年度分を含めると計14回)、対象者は、自由かつ積極的にいろいろな話題を出すことが求められた。援助者3名は、司会・通訳者の役割に重点をおきつつ、時に一人の参加者として会話に加わる発言を行った。発言したい意思を表すため、対象者5名中3名は自分の声を録音したVOCAを使用した。また、このグループによる会話場面以外の取り組みとして、話題づくりを目的にして、各自関心を寄せた被写体をポラロイドカメラで撮影する活動を足している。以上のような取り組みの結果、対象者には次のような変化が見られてきている。(1)当初は対象者から話題が出されることは少なかったが、自発的に話題を出すことが多くなっている、(2)他の話題・意見に異議や羨望を訴えることがみられるようになった、(3)出来事を伝えるのみならず、その際の自身の体験内容や感想も伝えるようになっている。(4)援助者も次第に対象者の発言が多くなるような通訳等の要領を整理しつつある。次年度は、今年度以上に目的1に関する取り組みを多く実施する予定である。
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Research Products
(1 results)