Research Abstract |
昨年度に続き,実験対象児の予備調査,実験プログラムの作成と予備実験および,成人を対象とした実験を行い,結果を発表した. 1.実験対象児の予備的調査 音韻障害児2名に面接し,生育歴・言語発達歴などの基礎的な情報の収集,および構音,知的発達,言語発達の検査を行った. 2.実験プログラムの作成 /sa/とが/∫α/の知覚において,摩擦のスペクトル形状とフォルマント遷移のいずれの音響的手がかりに重み付けをしているかを調べるため,実験プログラムを作成した.具体的には,1)予備実験の結果をふまえて,昨年度作成した刺激音声を改良し,2)成人を対象とした実験プログラム試作して予備実験を行い,刺激音の妥当性と実験プログラムの手続きについて検討した. 3.成人を対象とした実験の実施 大学生ら10名を対象として実験を行った.その結果,7名はフォルマント遷移よりも摩擦のスペクトル形状に基づいて判断する傾向がみられ,Nittrouerらの英語母語話者を対象とした一連の実験と同様の結果が認められた.一方,3名はその傾向は明らかでなく,成人の反応が一様でない可能性が推測された.今後は被験者を増やし,結果を検証する予定である. 4.成人を対象とした実験の結果発表 音声・聴覚研究会(2005年3月,東京)において,成人を対象とした実験の結果を発表し,発表の抄録を電子通信情報学会技術研究報告および日本音響学会聴覚研究会資料に掲載した. 5.音韻障害児を対象とした予備実験 成人を対象とした実験の結果をふまえて,音韻障害児を対象とした実験プログラム(試案)を作成し,現在予備実験を行っている.今後は予備実験の結果を分析し,音韻障害児を対象とした実験プログラムを作成して本実験を行う予定である. 6.健常児を対象とした実験 成人を対象とした実験および音韻障害児を対象とした予備実験の結果をふまえて,現在,健常児を対象とした実験プログラムを試作中である.今後は,予備実験を行い,その結果を検討した上で本実験を行う予定である.
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