2003 Fiscal Year Annual Research Report
交渉促進規範論の観点から見た救済判決の可能性-継続的消費者契約紛争を例として-
Project/Area Number |
15530637
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 顯治 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50222378)
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Keywords | 自己決定 / 契約正義 / 支援 / パターナリズム / 傾聴 / 消費者契約 / 継続的契約関係 / 救済法 |
Research Abstract |
平成15年度は我が国・欧米における継続的な消費者紛争事例のうち、極めて事案の類似した例を取り上げ、それぞれの国に置いて、どのように具体的な紛争解決が試みられたのかという観点から比較研究を行った。特に、本年度は消費者契約の解除をめぐって、いわゆる「継続性の原理」の妥当性が問われるいくつかの重要事例の比較検討を行った。そこでは、従来型の契約の解除要件を検討する実体法学的な分析視角だけでは足りず、将来の関係形成や、紛争の二当事者関係を越えた視点が必要であることが判明した。このような観点は近刊の次頁掲載論文においても生かされている。とりわけ、検討したいずれの事例においても、契約の解消をもってしては問題の解決としては当事者双方にとり不満が残り、むしろ、当該契約のさらなる継続を前提として、当該契約内容の将来に向けた改訂を試みることが望ましい場合があることが明らかとなった。しかし、既存の法体系においてはかかる法理の展開は十分なされてはおらず、このような将来志向の契約改定法理の展開が今後の重要な課題として存していることが判明した。また、このような法理を支える原理についても、従来の民事法学の基本原理について再考することの必要性があることが判明し、効率性や、正義に加え、支援といったあらたな法原理への模索が諸外国においてはすでに進められ一定の蓄積があることが判明した。これらの諸原理の具体内容に加え、相互の関係をどのように考える必要があるのかも、法制度の設計に加えて、本研究の重要な課題であることが判明した。
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Research Products
(1 results)