2005 Fiscal Year Annual Research Report
交渉促進規範論の観点から見た救済判決の可能性-継続的消費者契約紛争を例として-
Project/Area Number |
15530637
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 顯治 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50222378)
|
Keywords | 自己決定 / 当事者像 / 消費者紛争 / 契約 / 支援 / 合理性 |
Research Abstract |
本研究は、近時裁判例においても大きな問題となっている「継続的な消費者契約」を取り上げ、裁判所による「救済判決」の理論的、実践的可能性について検討をなすものである。昨年度は、かかる救済判決を原理的に正当化する法原理の中核をなすものとして、契約当事者の「自己決定原理」についての考察をなしたが、本年度は、かかる自己決定をなす「当事者像」についての研究を行い、一定の成果を公表した。 継続的な契約関係を巡る紛争においては、いかなる当事者像を想定しているのか、ということは裁判例においては実は重要なファクターとなっているのにもかかわらず、十分な検討がなされることがなかった。今年度は、この当事者像について、これまでは、近代的な「自律的当事者像」が想定されながら、他方で、これを批判的に見るものとして、「悩み・迷う」当事者像を直視する必要があると論じられたり、他方では、「法と経済学」を援用しつつ、当事者の合理性の内実をより明確化する必要があるとの新たな議論がなされている。本年度の研究では、まず総論的に、このような当事者像をめぐる理解の相違についての理論状況を概観した後、かかる当事者理解が具体的裁判例において、いかなる役割を実際に果たしているのかを検討した。 その成果は、2005年度5月の日本法社会学会において、「法主体のゆくえ」との統一テーマで全体シンポジウムを開催し、筆者は、そこで総括的報告をなした。また、その報告成果は2006年3月の『法社会学』64号に掲載される予定である。
|
Research Products
(2 results)