2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540015
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山田 裕理 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50134888)
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Keywords | 頂点作用素代数 / オービフォールド / W代数 / ヴィラソロ代数 / フュージョンルール |
Research Abstract |
本研究の目的は、頂点作用素代数の自己同型による固定点全体のなす部分代数、すなわちオービフォールドの構造を調べることである。近年ツイスト加群などの研究手法が開発されてきているが、頂点作用素代数のオービフォールドは複雑な構造をしているため、詳しく内部構造を研究することは一般に難しい。本年度は、頂点作用素代数の重要な例である格子から定義される頂点作用素代数について研究を進め、次の成果が得られた。 1.A_2型ルート格子を√2倍した格子から定義される頂点作用素代数には、格子の位数3の自己同型から引き起こされる自己同型がある。この自己同型によるオービフォールドには、中心電荷4/5の3-state Potts modelと呼ばれる部分代数が存在することが知られていた。今年度は、このオービフォールドにおいて3-state Potts modelと可換な部分代数として、中心電荷6/5のW_3代数を構成した。さらに、その既約加群をすべて決定した。 2.E_6型ルート格子を√2倍した格子から定義される頂点作用素代数には、中心電荷6/7のヴィラソロ頂点作用素代数が含まれることが知られていた。今回、この頂点作用素代数にはウエイト5の最高ウエイトベクトルが存在することを示した。これにより、中心電荷6/7のヴィラソロ頂点作用素代数とその最高ウエイト5の既約加群の直和の形の部分代数が存在することがわかる。この部分代数は、物理学においてtricritical 3-state Potts modelと呼ばれるものである。さらに、この部分代数の既約加群およびフユージョンルールを決定し、位数3の対称性を持つことを見出した。これらの結果の応用として、この部分代数および既約加群をternary codeを用いて組み合せることで、新しい頂点作用素代数を構成した。
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