2003 Fiscal Year Annual Research Report
安定層のモジュライの表現論によるカラビ-ヤウ多様体の不変量の研究
| Project/Area Number |
15540039
|
|---|
| Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
|---|
Principal Investigator |
中島 徹 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (20244410)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 雄一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (30264584)
小林 正典 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (60234845)
GUEST Martin 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (10295470)
|
|---|
| Keywords | カラビ-ヤウ多様体 / 安定層 / モジュライ空間 |
|---|
| Research Abstract |
本年度の研究の目的はカラビ-ヤウ多様体上の安定層のモジュライ空間の交点理論の解明であったが、これに関して以下の様な成果を得た。
我々の得た主要結果は、従来の研究で得られたBrill-Noether双対性の手法を一般化することにより、ファイバー構造をもつ代数多様体上の安定層のモジュライ空間の構造を明らかにしたことである。安定層のモジュライは一般に複数の既約成分をもつが、我々は特にイデアル層と安定束の拡大として表される安定層を含む既約成分に注目し、その次元や、非特異性、双有理型等の性質を決定することに成功した。この結果は曲線上の直線束に関する古典的なBrill-Noether理論の高次元への一般化と見倣すことができる。この理論の応用として次に挙げる3つの場合にモジュライ空間の詳細な記述を与えることができた。
まず、楕円曲線をファイバーにもつ代数曲面上の3次元カラビ-ヤウ多様体上の安定層のモジュライ空間は、チャーン類についての適当な仮定の下で底空間上の射影束と双有理同値であることを証明した。我々のアプローチは、従来知られていたFriedman-Morgan-Wittenによるspectral coverの方法とは全く異なるものであり、今後弦理論への応用が期待される。
次に、Del-Pezzo曲面をファイバーにもつ3次元代数多様体の場合に、モジュライがファイバー内の有理曲線のヒルベルトスキーム上の射影束と双有理同値であることを証明した。
最後に、Fano多様体をファイバーにもつ任意種数の曲線上の多様体の場合には、モジュライは底曲線のジャコビアン多様体上の射影束と同型であることが証明できた。この結果は今後高次元カラビ-ヤウ多様体をファイバーにもつ場合を考察する為に重要なヒントとなると思われる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Nakashima: "A construction of stable vector bundles on Calabi-Yau manifolds"Journal of Geometry of Physics. 49. 224-230 (2004)
-
[Publications] T.Nakashima: "Moduli of vector bundles on Fano fibrations"JP Journal of Geometry and Topology. 3. 37-52 (2003)
-
[Publications] T.Nakashima: "Stable rank two bundles on Del-Pezzo fibrations of degree 1 or 2"Archiv der Mathematik. 81. 258-265 (2003)
-
[Publications] T.Nakashima, W.Watanabe: "Vector bundles on Del-Pezzo fibrations"Geometriae Dedicata. 100. 1-9 (2003)
-
[Publications] T.Nakashima: "Moduli spaces of vector bundles on quadric fibrations"Revue Roumaine de Mathematiques Pure et Appliquees. 48. 513-519 (2003)
-
[Publications] T.Nakashima: "Moduli spaces of stable bundles on K3 fibered Calabi-Yau threefolds"Communications in Contemporary Mathematics. 5. 119-126 (2003)
