2006 Fiscal Year Annual Research Report
リーマンゼータ凾数論:リー群上のヒルベルト空間への埋め込み
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15540047
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
本橋 洋一 日本大学, 理工学部, 教授 (30059969)
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Keywords | 保型表現 / ゼータ函数 / 素数分布 / 保型L函数 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は三つの主題に分かれる。[1] Rankin-Selberg L-函数、[2]素数分布論、及び[3]「Kloosterman和」のKuznetsov和公式に関する基本間題の解決である。これらは互いに深く関係している。 [1]昨年度までの主結果は「保型 L-函数について、リンデレーフ常数く1/3の確立」であった(これは極めて著名な数学誌Acta Mathematica第195巻に掲載された;海外共同研究者M. Jutila教授との共著Uniform Bound for Hecke L-Functions)。昨年度はこれをRankin-Selberg L-函数に拡張し、 P. Sarnak教授を指導者とするPrinceton学派の中心的な結果を大きく凌駕する結論を得た。それは、これら一群のL-函数に対してリンデレーフ常数く2/3の確立を主張するものである。しかし、結論の一様性につき多少の未完成さが残こり、これの改良は至難であろう、と専攻研究者からされていた。しかるに、今年度の成果の一つとしてこの困難の克服を報告出来る。詳報は学士院紀要に投稿されるよていである(M. Jutila教授との共著)。 [2]一昨年、整数論分野は素数分布における大発見を得た。これはD. A. Goldstaon, J. Pintz, C. Y. Yildirim 3氏(GPY)によるものであり、古来著名な「双子素数予想」への初の確実な接近と考えられている。本橋は彼らの錯綜した議論を極く透明とし、「驚嘆すべき」と評される簡潔な証明を得た。それはGPY 3氏と本橋との共同論文として今年度に学士院紀要に発表された(紹介者:森重文・学士会員)。更に、最近に至り、本橋とJ.Pintzは関係する「筋法」につき理想的な改良を達成し、この成果故に本橋はコロンビア大学(ニューヨーク)にて本年5月に開催される国際会議にて招請講演をすべく招聘されている。 [3]この研究成果はゼータ函数論により深く関連する。Kuznetsov和公式には或るBessel核型積分変換が現れるが、これの「双方向反転」は25年近くの難問であった。困難の核心は変換あるいは逆変換の対象となる函数空間を明確に特定することにあった。本橋はこれを古典解析の範囲内で決定的に解決した。詳細は、九州大学にて開催されたL-函数論国際会議で招待発表され、近日出版される予定である。
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Research Products
(4 results)