2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540048
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Research Institution | RIKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
塩田 徹治 立教大学, 理学部, 教授 (00011627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 昇 立教大学, 理学部, 教授 (30183130)
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Keywords | シャファレヴィチ対応 / モーデル・ヴェイユ格子 / 楕円曲面 / 特異ファイバー / 整数点 / abc-定理 / DS-トリプル |
Research Abstract |
楕円曲線の判別式は、それ自身自然に第2の楕円曲線を定める。この対応をシャファレヴィチ対応と呼ぶが、これによれば、同一の判別式をもつ楕円曲線を決定することは、対応する第2の楕円曲線の整数点を決定することと同値である。関数体上の楕円曲線については、前者は与えられた特異ファイバーをもつ楕円曲面の決定する問題に関係している一方、後者の問題は「abc-定理」およびモーデル・ヴェイユ格子の理論を用いて解明できる場合がある。 この観点に立つと、射影直線上の楕円曲面でN個の特異ファイバーをもつものを決定せよ、という有名な問題に対して、見通しのよい方針を提示することができる。とくにN=3,またはN=4のとき、既知の結果に対して、代数的な別証明を与えるとともに、Nが5以上のときの新たな問題点を明らかにする。 また、極大な特異ファイバーをもつ楕円曲面といわゆるDS-トリプルの関係、あるいは極大ハイトをもつ整点とある種の楕円モジュラー曲面の関連、など多くの分野と接点をもつ対象が自然にあらわれ、これらは、さらに広い範囲の数学と豊かな関係をもつことがわかる:実曲面上のグラフやグロタンディクのデッサンとの関連である。この状況はまだ解明されるべき点を残していて、一般の場合は今後の研究課題である。しかし特別な場合には、たとえば極大な特異ファイバーをもつ楕円K3曲面の一意性およびその定義方程式の決定などの精密な結果を得ることが可能である。 その他の実績として、アーベル多様体のホッジ・サイクルについての研究、楕円曲線のテイト・シャファレヴィチ群の研究、等がある。
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