2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15540090
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
枡田 幹也 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00143371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 拓郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10315971)
加藤 信 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10243354)
橋本 義武 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20271182)
日比 孝之 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80181113)
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Keywords | トーリック多様体 / 扇 / 凸体 / 組合せ論 / トポロジー / face ring / 同変コホモロジー / グラフ理論 |
Research Abstract |
数年来、代数幾何におけるトーリック多様体論をトポロジーの観点から展開している。これは、トーリック多様体論をトポロジーの言葉で復元するのみならず、多重扇、多重多面体など、新たな対象が現れる点で興味深いと思われる。トーリック多様体に対応するトポロジーの対象は、トーラス多様体である。トーラス多様体の幾何学的性質を調べるのが、本研究の目的である。これに関して現在次のプロジェクトを進めている。 (1)トーラス多様体のうち、奇数次のコホモロジーが消えているものは、よいトーラス多様体と思われる。実際トーリック多様体はそのようなものである。昨年度、Panov氏との共同研究において、そのようなトーラス多様体の軌道空間の言葉による特徴づけを得た。トーラス多様体はコンパクトであるが、コンパクトでない対象も興味深い。今年度8月、Finlandにおける研究集会に参加した際、Franz氏とこの問題について議論を始め、その後彼を招聘して、トーラス多様体から部分多様体を除いたものが、いつ奇数次のコホモロジーが消えるかの、軌道空間の言葉による必要十分条件を得た。 (2)Guillemin-Zaraにより、トーラス多様体のトポロジーとグラフ理諭との関係が調べられている。これは、グラフ理論の研究に同変トポロジーのアイデアを導入したもので大変興味深い。特に、axial functionをもつグラフに対して、その同変コホモロジーと可換環論との関連を研究している。 (3)トーリック多様体の実数版とも言うべきものに、small coverと呼ばれる幾何学的対象がある。これの幾何学的性質の多くの部分は、トーリック多様体の議論と平行に進むが、基本群が非自明であることや、向き付け不可能なものもあるなど、トーリック多様体と異なる様相を示す部分もある。現在、この研究を進めている。
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