2003 Fiscal Year Annual Research Report
シンプレクティック空間の不変量とその表現論的構造の研究
Project/Area Number |
15540092
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 助教授 (30268974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 啓之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (90214163)
三好 重明 中央大学, 理工学部, 教授 (60166212)
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Keywords | シンプレクティック多様体 / 運動量写像 / シンプレクティック商 / 余随伴軌道 / 指標公式 / リーマン・ロッホの定理 |
Research Abstract |
研究計画調書に記したテーマのうち、シンプレクティック商のコホモロジカルな不変量の解析に関して、研究代表者・高倉と鈴木太郎との共同研究によりいくつかの進展が得られた。 まず、3次元特殊ユニタリ群の余随伴軌道(複素射影平面および旗多様体)の直積からシンプレクティック商として得られる多様体について、体積公式およびコホモロジー交叉積の母関数が(有限和の形で)求められた。その手法は、シンプレクティック商に対する基本定理を介して特性数の計算をコンパクト群の表現論に帰着させるものである。具体的には、ワイルの指標公式および積分公式により、既約表現のテンソル積における自明表現の重複度を(漸近的に)求めることになる。またその過程で明らかになったことだが、4次元以上の特殊ユニタリ群についても、少なくとも余随伴軌道が複素射影空間となる場合には同様の公式が得られると予想され、現在詳細を検証中である。 なおこれらの公式は、2次元特殊ユニタリ群に対する(高倉による)以前の結果を高次元に拡張するものであるが、2次元の場合と異なり、各コホモロジー交叉積の値が母関数から直ちに読み取れるというわけではない。この事情が何に起因するのかも含めて、上記の結果の幾何学的な解釈が今後の課題として残されている。 この他に、研究分担者・落合は、双曲錐多様体に付随したベクトル値超幾何微分方程式の超幾何方程式への分解と解の明示表示(藤井道彦との共同研究)、自由度の大きい完全可積分系の分類(大島利雄との共同研究)、Painleve微分方程式の多項式解であるYablonskii-Vorob'ev多項式の係数の数論的な性質(金子昌信との共同研究)、局所系係数のサイクルの交叉理論の共鳴(resonance)への拡張(三町勝久、吉田正章との共同研究)、絶対体上の導分の構造定理(黒川信重、若山正人との共同研究)を本年度発表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 高倉 樹: "書評 Ana Canas da Silva : Lecture on Symplectic Geometry (Springer Lecture Notes in Math., 1764)"数学. 55・3. 332-335 (2003)
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[Publications] H.Ochiai, M.Fujii: "An algorithm for solving linear ordinary differential equations of Fuchsian type with regular singular points"Interdisciplinary Information Sciences. 9・1. 189-200 (2003)
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[Publications] H.Ochiai, T.Oshima: "Commuting differential operators of type B_2"Funkcialaij Ekvacioj. 46. 297-336 (2003)
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[Publications] H.Ochiai, M.Kaneko: "On coefficients of Yablonskii-Vorob'ev polynomials"J.Math.Soc.Japan. 55. 985-993 (2003)
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[Publications] H.Ochiai, K.Mimachi, M.Yoshida: "Intersection theory for twisted cycles. IV."Mathematische Nachrichten. 260. 67-77 (2003)
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[Publications] H.Ochiai, N.Kurokawa, M.Wakayama: "Absolute derivations and zeta functions"Documenta Mathematica, special Kato volume. 565-584 (2003)