2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小嶋 泉 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (60150322)
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Keywords | Micro-Macri duality / マクロデータからのミクロ量子系の再構成 / Kac-竹崎作用素 / セクター内構造 / 極大可換部分環 / 接合積 / 双対作用 / 竹崎双対定理 |
Research Abstract |
無限自由度量子系の内部対称性とその破れや熱的状況の違い等に起因して生成するセクター構造およびその実験的観測過程の記述に必要な一般的理論枠は,報告者の2004年以前の研究により,代数的場の量子論と非可換確率論に基づく文脈で基本的な諸点が与えられた。しかし異なるセクターを区別する物理量である秩序変数は一つのセクター内の全ての状態で同じ値を取るため,それを用いてセクター内部の構造を記述することはできない。今年度,報告者の研究はこのセクター内部の構造解析を課題の焦点に据えて,次の基本的な点を明らかにした: i)セクター内部の状態の現実的実験的な同定に必要な物理的過程を実現する対象系と測定装置の間のcoupling termおよびそれに付随する"instrument"の概念は,測定される物理量から成る極大可換部分環(MASA)Aおよびそれを生成するユニタリ群Uを指定すれば,群・Kac代数の双対性に関する理論で中心的な役割を演ずるKac-竹崎作用素とそれから決まる接合積を用いて,統一的・普遍的な形で記述され[論文2], ii)半単純Lie環の構造がCartan部分環とそのルート系の構造に関する情報で定まるように,ミクロ量子系を記述する無限次元非可換代数Mの構造も,MとUの接合積とその双対性に関する竹崎双対定理に基づき,Aおよびその測定データの配置構造を記述するUの双対作用の概念を用いた第二接合積によって再構成できることが証明され,更に, iii)Mの構造分類はSpec(A), UおよびUの双対から作られる力学系の幾何学的構造で決定される。 [ii),iii)については,I.Ojima and M.Takeori, "How to observe quantum fields and recover them from observational data?--Takesaki duality as a Micro-Macro duality--", in preparation]
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Research Products
(3 results)