2004 Fiscal Year Annual Research Report
空間2次元の非凸領域におけるギーラーマインハルト系の安定スパイク解の構造の研究
Project/Area Number |
15540122
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大西 勇 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30262372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 大信 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20304389)
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Keywords | 反応拡散系 / パターン形成 / パルス解 |
Research Abstract |
本研究では、ギーラー=マインハルト系に代表される反応拡散系における時空間パターン形成のメカニズムを数理理論、数値シミュレーションの両面から研究した. 簡単な興奮性のダイナミクスを持つ素子が拡散的な相互作用により結合された1次元離散格子系において,パルス形状を保ったまま,その進行方向をランダムに変更する,一次元パルス解を発見した.このような,不規則な運動をするパルス解はこれまで知られていない.さらに,離散格子系を連続系の離散近似として見た場合に,その連続極限をとった反応拡散系では,同じパラメータにおいて定常パルス解が得られることが示された.これは,離散化が動きを生み出す一例であり,これまでよく知られている,離散化による運動の停止,例えばフロント進行波におけるTraveling failureとは対極的な結果である.本論文では,統計的な考察および大域的な解構造を数値的に得るという二つの手法により,不規則なパルス運動の出自に対して数理的な理解を得ることに成功した.この研究については、上山が雑誌論文にまとめ、掲載の決定通知を頂いている. また、上記の反応拡散系の例として、Liesegang現象のモデルを扱い、これについても顕著な結果を得ている。これは反応・拡散による物質の生成物が沈殿する際にしばしば見られるパターン形成である。この現象について、その本質的な効果がコロイドの生成・溶解の法則にあることを見抜き、数理的に最も簡単であろうと思われるモデル方程式を導き、その勾配系におけるパターンの本質的な部分を再現することができた。
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Research Products
(1 results)