2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540171
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 順子 鳥取大学, 教育地域科学部, 助教授 (40243886)
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Keywords | 可解リー群 / 複素解析的誘導表現 / orbit method / 余随伴軌道 / polarization |
Research Abstract |
1.一般の複素部分リー環から複素解析的誘導表現を構成する問題については,低次元の指数型リー群において,具体例の計算および考察を進めた。既約分解に現れる表現の決定においては,Kirillov-Bernat写像により対応する余随伴軌道の大域的なふるまいに関する情報が本質的に重要と考えられる。このことを,個々の例の特殊性に依存しない形で記述することは今後の問題である。 2.指数型リー群の既約表現の表現空間における「可微分」ベクトルについては,Ludwigの導入した,Fourier変換に連動するある条件をみたす「良い」空間,およびその条件の一部をみたす空間の特徴づけを考察した。既約表現に対応する余随伴軌道上の点fをとり,fにおける実polarizationを,リー環の冪零根基に適合し,Pukanszky条件をみたすようにとって,Mackey誘導により群の既約表現を構成する。この条件をみたすpolarizationは,例えば適当なイデアルの列をとりVergneによるpolarizationの構成法を用いれば,各fに対して常に得られることが容易に分かるので,この設定での既約表現の実現のもとで,上記の空間の内在的な特徴づけを試みている。本年度は大まかな見通しを立てた段階で,細部の精密な計算などは次年度に引き続き行う予定である。これらはMetz大学を訪問して行っている研究,議論の中で発展してきたアイディアである。また,Metz大学での議論の過程で,表現空間の解析ベクトルの空間の取り扱い,さらに微分表現がひきおこすリー環の展開環の作用による単純加群の構成の問題との関わりの可能性も示唆された。このような方向の問題も,本研究の応用面として次年度以降取り扱っていきたい。
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