2003 Fiscal Year Annual Research Report
球面の分岐被覆の力学系と力学系のゼータ関数に関する研究
Project/Area Number |
15540204
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
亀山 敦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (00243189)
|
Keywords | 複素力学系 / ジュリア集合 / タイル張り / ゼータ関数 / 分岐被覆 / 自己相似集合 / 記号力学系 |
Research Abstract |
本研究の目的のひとつは、球面上の分岐被覆を「イソトピック」な意味で分類することであった。1次元力学系の場合にはkneading sequenceというよい不変量を使って分類できることは古くから知られている。これを球面の分岐被覆に拡張する方法のひとつの試みが、研究代表者自身の以前の仕事でなされている。それはkneading sequenceを、記号力学系からジュリア集合への半共役とみなすというアイデアに基づいているものであるが、「標準的な」拡張が定まらないという問題点があった。 本年度の研究では、この事実を逆手にとって、記号力学系からジュリア集合への半共役のすべてを考え、この集合を研究対象とみなすという方針の下に進めていった。新たに得た成果は次のとおりである。 fを劣双曲的有理写像とする。Jでfのジュリア集合を表す。Jの普遍被覆による持ち上げをJ^^~で表す。Cod(f)でgeometric coding treeによる、Jのcodingの全体を表す。 1.fの逆写像を普遍被覆で持ち上げてできる縮小写像による自己相似集合Kの測度が正ならば、J^^~はKによるタイル張りが可能である。 2.Coding写像は測度0の集合を除き、n対1写像である。nはcoding treeにより定まる定数。 3.Coding写像の「つぶれ方」は有限有向グラフで記述できる。 4.Cod(f)はtree全体の集合を、ある基本群の部分群の作用で割ったものと同型になっている。また、Cod(f)には、fと可換な有理写像全体のなす半群が自然に作用している。
|