2003 Fiscal Year Annual Research Report
差分方程式の解の大域的性質と非線形現象モデルの解との対比の研究
Project/Area Number |
15540217
|
Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
鈴木 麻美 愛知学泉大学, 経営学部, 助教授 (10236010)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 昭夫 中央大学, 経済学部, 教授 (50149473)
|
Keywords | 非線形差分方程式 / 解析解 / ダイナミクス / 寡占モデル / 時間遅れ |
Research Abstract |
これまでの準備を元にして、クールノーダイナミクスのある寡占モデルへ解析的な手法を取り入れ、非線形差分方程式の大域的な解の挙動に関して、経済学的な意味の分析、およびこれまでの経済における数理モデルの概念へ、新しい問題を提示した。ここでは、安定条件を満たしている非線形2階差分モデルにおいて、そのシミュレーションによるモデル解析と、差分方程式そのものの関数解との違い、それらが実際の現象においてどのような矛盾を生み出すかという問題の指摘と、これまで困難とされてきた非線形差分モデルの解析関数として解を得るための条件とその方法を導き出した。 また、これらの解析方法を一般化して、非線形2階差分方程式の解析解に関しての理論を体系的にまとめることに成功した。これは、均衡点が存在する非線形モデルにおいて、2つの固有値の絶対値がどちらか一方でも1でなければ、そのモデルの均衡点へ収束していく解析解の存在を示す事ができ、またその解の表示が得られるのである。さらには、均衡点へ収束していく任意の解析解x(t)は、x(t+n+1)/x(t+n)が、n→∞又はn→-∞の時にそのいずれかの固有値に収束していく事が分かり、そのいずれかによりx(t)は、その固有値とある周期関数を用いて表示可能であるという理論が、その固有値の大きさの場合分けによりまとめられたのである。 さらには、実際の現象をより正確に数理モデル化する際に必要と考えられる「時間遅れ」を入れたモデルを、孤島経済モデルである「イースター島モデル」へ応用させた。ここでは、遅れを考える事により、これまで安定とされていたモデルが実際には不安定であって、イースター島のように衰退してしまったと言う事実への整合性を示しており、また不安定化する際の遅れの限界値に関しての解析も行う事ができた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 鈴木麻美, 金子勝一, 山下洋司: "組織における学習への注意の配分モデルのおける重みの解析的推進法"日本経営システム学会誌. 19. 1-6 (2003)
-
[Publications] 松本昭夫: "Let It Be ; Chaotic Price Instability can be Beneficial"Chaos, Solitons and Fractals. 18. 745-758 (2003)