2003 Fiscal Year Annual Research Report
重力レンズを用いた位置天文学的手法による銀河系構造の研究
Project/Area Number |
15540240
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
大西 浩次 長野工業高等専門学校, 助教授 (20290744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 登志夫 国立天文台, 天文情報公開センター, 教授 (70231735)
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Keywords | 重力レンズ効果 / 位置天文学 / アストロメトリック・マイクロレンズ / マクロ重力レンズ / 銀河系 / 銀河系中心 / Sgr A* / 近傍銀河 |
Research Abstract |
位置天文学的マイクロレンズ(重力レンズ効果による位置のずれ)の観測は、銀河系内の構造の研究に有効な観測手法である。本研究の初年度では、おもに2つの対象について、位置天文学的マイクロレンズの起きている確率(optical depth)と年間あたりの事象発生率(event rate)を調べた。 (1)銀河系中心方向の星の集団(銀河バルジおよび、銀河核バルジ(Sgr A*近傍)) 銀河系中心方向を通して見える複数のクエーサーは、銀河系によるマクロな重力レンズ効果を受けていると期待される。銀河系中心天体Sgr A*とこれらのクエーサーとの相対位置は太陽系の銀河回転によって変わってゆく。我々は、マクロな重力レンズ効果によるクエーサーの位置偏向の変化量を求めた結果、年間1マイクロ秒角程度であり数千年オーダーでほぼ一様一定であることがわかった。さらに、銀河バルジと銀河版バルジのマクロな重力レンズ効果の違いから、クエーサー間の相対位置変化の測定から銀河バルジと銀河核バルジの質量分布に制限がつけられる可能性がわかった。この成果の一部は、ブラックホールの国際会議で発表した。現在、論文準備中である。 (2)近傍銀河(LMC,SMC)の天体 LMCやSMCの星々を光源の天体としたとき、1マイクロ秒角以上の位直天文学的マイクロレンズの起きる確立は0.1程度であり、年間1マイクロ秒角以上の見かけの固有運動が起きる確率は1/1000程度である。それらの値は、レンズ天体と光源天体の分布に依存する。また、LMC、SMCのおける位置天文学的マイクロレンズ観測と光学的マイクロレンズ観測の結果を比較することで、LMC方向で観測されるマイクロレンズ現象が、MACHOによるものか、LMC内の星によるものかを区別できる。これらの成果の一部は、ダークマターの国際会議IAU220で発表した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kouji Ohnishi: "Astrometric Study of MACHO Halo Distribution in Our Galaxy"Dark Matter in Galaxies, International Astronomical Union. Symposium no.220,held 22-25 July,2003 in Sydney, Australia. (2004)
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[Publications] Mizuhiko Hosokawa: "Astrometric Microlensing and Degradation of Reference Frames"The International Celestial Reference System : Maintenance and Future Realization,25th meeting of the IAU, Joint Discussion 16,22 July 2003,Sydney, Australia. (2004)
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[Publications] Kouji Ohnishi: "Macro lens toward the Galactic Center"Progress of Theoretical Physics, Supplement. (2004)