2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 柾司 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50217246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 忠恭 国立天文台, 理論天文学研究系, 助手 (80343101)
青木 和光 国立天文台, 光学赤外線天文学観測システム研究系, 助手 (20321581)
土佐 誠 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50022728)
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Keywords | 銀河系 |
Research Abstract |
本研究では、銀河系の形成と進化を、観測データの解析と理論計算の両面から総合的に検討することを主題としている。その背景として、我々の銀河系に代表される円盤銀河が、どのようにして形成され現在見られるような構造に至ったかを明らかにすることが、一般の円盤銀河の形成と進化を解明する上で車要な鍵を握っているからである。特に、銀河系を構築している恒星系の6次元位相空間分布や金属量分布を調べることによって、広がったハロー成分から回転する円盤成分にかけての動力学構造の時間変化を追跡することができる。深宇宙の観測からは単一銀河の時間変化を追跡できないことから、銀河系は銀河形成を研究する上で大変重要となる。特に近年は、すばる望遠鏡に代表される大型望遠鏡やスローン・デジタル・スカイサーペイ(SDSS)などの専用望遠鏡などによって高質で多量の観測情報が得られるので、これらの望遠鏡を用いた銀河系研究を、組織化した研究体制で取り組んでいる。 本年度は、銀河系初期の物理状態を引き出すために、年齢が古い天体である金属欠乏星の化学的性質と動的状態に関する情報を、すばる望遠鏡による高分散分光観測とそのデータ解析を遂行した。特に、SDSSによって見出された恒星系のストリーム構造に関して、その金属量と視線速度の分布を決定した。現在、最終結果の獲得に向けて、解析をさらに進めている。また、SDSSによって得られた水平分枝星の観測情報に基づいて、銀河系の総質量、質量分布、ならびに速度構造に関するこれまでにない正確な決定方法とその実施を進めており、最初の成果が、坂本・千葉・ビアーズの3者を筆者とする論文にまとめられた。この成果は、国際会議等において頻繁に引用されている。さらに、銀河系形成の理論モデルの開発も、研究分担者と共に進めており、既に幾つかの初期成果が得られ、成果発表の準備を進めている。
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[Publications] 坂本 強: "The mass of the Milky Way : Limits from a newly assembled set of halo objects"Astronomy and Astrophysics. 397. 899 (2003)
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[Publications] 水谷 有宏: "Kinematics of Tidal Debris from W Centauri's Progenitor Galaxy"Astrophysical Journal Letters. 589. 89 (2003)
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[Publications] 家正則: "EROR1 in the Field of CLO939+4713 : Evidence for an SO-like Galaxy at Z〜1.5"Astrophysical Journal. 590. 770 (2003)
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[Publications] 井上太郎: "Direct Mapping of Massive Compact Objects in Extragalactic Dark Hales"Astrophysical Journal Letters. 591. 83 (2003)