2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 徹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20151970)
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Keywords | 超弦理論 / 超対称ゲージ理論 / リュービル理論 / カラビ・ヤウ多様体 / 幾何学的転移 / 共形場理論 |
Research Abstract |
昨年度、江口はN=2リュービル理論の力学を調べ、モジュラー・ブートストラップの手法を用いて理論の境界状態を分類した。まずN=2リュービル理論には連続、離散、真空の3つのユニタリー表現が存在するが、これらの表現に対応して理論の境界状態にはD1、D2、D0ブレーンが存在することが分かる。これらのブレーンの波動関数は、表現の指標のモジュラー変換行列から求められ、N=2リュービル理論とT-双対であるSL(2;R)/U(1)理論で知られる境界状態の波動関数とよく対応している。 また、江口はN=2リュービル理論を用いて、特異性をもつ種々のカラビ・ヤウ多様体の位相不変量、特に楕円種数を決定した。 江口はまた、幾何学的転移(geometrical transition)の手法を用い、S^3上のチャーンーサイモンズ・ゲージ理論のリンク不変量から出発して、組み合わせ論的な方法を用いて、非コンパクトなカラビ・ヤウ多様体上の位相的弦理論の振幅を正確に決定した。この結果は、Nekrasovによって提唱されたN=2超対称ゲージ理論のインスタントン振幅の拡張と完全に一致し、幾何学的転移の手法が全ての種数と巻きつき数に渉って非コンパクト・トーリックカラビ・ヤウ多様体のグロモフ・ウィッテン不変量を正確に与えることを示している。 また江口は一般に非コンパクト・カラビ・ヤウ多様体のグロモフ・ウィッテン不変量が、頂点作用素などの2次元共形場の理論の手法を用いて正確に計算できることを示し、位相的弦理論の振幅が一種のヴェネチアノ振幅の形を持つことを指摘した。
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