2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 徹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20151970)
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Keywords | flux / カラビーヤウ多様体 / string landscape / モジュライ空間 / 特異点 / 真空の分布関数 / コニフォルド / タイプIIB弦理論 |
Research Abstract |
江口は現在大きな論争を巻き起こしているflux compact化やstring landscapeの問題に関係して、カラビーヤウ多様体のモジュライ空間の特異点付近でタイプII超弦理論の真空の分布密度の振る舞いを調べた。モジュライ空間の特異点としては (1)コニフォルド 局所座標を用いてz^2+w^2+u^2+v^2=0,z,w,u,v∈Cで定義されるタイプの特異点 (2)ALE型特異点 z^2+w^2+u^n=0,z,w,u∈Cで定義されるタイプの特異点 (3)Argyres-Douglas point (4)large complex structure limit などがある。これらの特異点に対して (1)質量の無い物質場が生成される、 (2)非可換ゲージ対称性が生成される、 (3)N=2超対称性を持つ4次元の共形場の理論が生成されるなど 興味ある非摂動的な現象が起こる事が知られている。また、多くの場合、特異点付近においては弦理論から重力場が脱落して弦理論は4次元の場の理論に帰着する。 江口は真空の分布関数の値そのものは特異点で発散するがその積分は有限である事を示した。 モジュライが1次元の場合には真空の分布密度は特異点付近(z=0)で ρ(z)【approximately equal】1/(|z|^2|logz|^2) の様に振る舞う。一方特異点以外では分布関数は有限で、弦理論の真空は特異点付近に集中している事が知られている。この結果はタイプII弦理論の持つ真空の数が全体で有限である事を示唆しており、string landscapeをめぐる論争にに大きな影響を与える可能性がある。
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