2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 徹 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (20151970)
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Keywords | カラビーヤウ多様体 / 超弦理論 / リュービル理論 / 楕円種数 / ALE空間 / K3曲面 |
Research Abstract |
超弦理論における10次元の時空のうち6次元の空間はカラビーヤウ多様体と呼ばれる特別な幾何学的性質を持つ空間に小さく丸まっていると考えられでいる。カラビーヤウ多様体が種妾の特異性を持つ場合は、物理的に興味のある非摂動的現象が起きるため特に興味を持たれている。例えば、カラビーヤウ多様体がALE空間(x 2次元球面)と呼ばれるものになる場合には、理論に非可換ゲージ対称性が生成されるため重要である。 一方、特異性を持つカラビーヤウ多様体上の弦理論を記述するためには、リゴービル理論を用いる必要がある。リュービル理論は離散スペクトルの他に連続スペクトルを持ち、これらの表現の指標関数はモジユラー変換の下で複雑に混じり合う。このため、モジュラー不変な理論の分配関数や、モジュラー変換で特定の振る舞いを持つ位相不変量などを構成する事が難しい。18年度、江口は超対称性を持つリュービル理論を詳しく調べ、離散表現と無限個の連続表現を足し合わせたものが良い変換性を持っ事、このような構成要素を用いて理論の位相不変量、特に楕円種数を書く事が出来る事を示した。特に、この方法をALE空間に適用すると、ALE空間の楕円種数が予言されるが、この結果をK3曲面を非コンパクト化して得られた結果と比較すると、テータ関数に関する特定の関係式が導かれる。この関係式が正しい事にq-展開の低い次数では具体的な計算で確かめる事が出来る。この関係式の数学的な証明は数学者Zagierによって与えられた。
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