2003 Fiscal Year Annual Research Report
格子量子色力学とベイズ統計法に基くクォーク・グルオン・プラズマの動的構造の研究
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15540254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
初田 哲男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20192700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 勝一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60332590)
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Keywords | 格子量子色力学 / ベイズ統計 / クォーク・グルオン・プラズマ |
Research Abstract |
今年度は、筑波大学計算物理学研究センターの並列計算機CP-PACSの共同利用計算時間を使用し、非等方格子を用いた有限温度シミュレーションを行った。 特に、相転移点付近の重い中間子のスペクトル関数について集中的な研究をおこない、クゥエンチ近似の範囲で、J/ψなどの束縛系が相転移温度の2倍程度の温度まで生き残ることを示した。スペクトル関数に関しては最大エントロピー法の使用が大きな威力を発揮し、また大きな非等方格子を使用したことで定量的にも信頼性の高い結果が得られた。 さらに、高密度におけるクォーク超流動相転移について、強結合のカラー数2の格子QCDによる解析的計算を行った。特に、カイラル相と超流動相の相互関係について、対称性に基づいてその相互関係が定性的に理解できる事を示した。また、高密度における格子上の飽和性について新しい知見を得た。 また、カラー数3の高密度QCDにおいて実現するカラー超伝導について、その有限温度相転移について研究した。相転移点付近では、高密度の場合にゲージ場の揺らぎがスカラー場に対して主要な寄与をすることを示し、その効果によって平均場近似で得られていた2次相転移が1次相転移に変化することを示した。この一次転移は、高密度で弱くなり、低密度で強くなることが分かった。高密度における臨界領域についても考察し、上記解析の妥当性についても検討し、その妥当性を確認した。これらの成果を、3本の論文にまとめた。
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[Publications] T.Matsuura, K.Iida, T.Hatsuda, G.Baym: "Thermal Fluctuation of Gauge Fields and First Order Phase Transitions in color Superconductivity"Physical Review D. (印刷中). (2004)
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[Publications] M.Asakawa, T.Hatsuda: "J/ψ and η_c in the Deconfined Plasma from lattice QCD"Physical Review Letters. 92. 012001 (2004)
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[Publications] Y.Nishida, K.Fukushima, T.Hatsuda: "Thermodynamics of strong Coupling Two color QCD with Chiral and Diquark Condensates"Physics Reports C. (印刷中). (2004)
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[Publications] S.Sasaki et al.: "Nucleon Axial Charge from Quenched lattice QCD with Domain Wall Fermions"Physical Review. D68. 054509 (2003)
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[Publications] S.Sasaki: "Latest Results from lattice QCD for the Roper Resonance"Pros.Theor.Phys.Suppl.. 151. 143-148 (2003)