2005 Fiscal Year Annual Research Report
格子量子色力学とベイズ統計法に基くクォーク・グルオン・プラズマの動的構造の研究
Project/Area Number |
15540254
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
初田 哲男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20192700)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江尻 信司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10401176)
|
Keywords | 量子色力学 / クォーク・グルーオン・プラズマ / ベイズ統計 / 格子ゲージ理論 / 動的構造 |
Research Abstract |
今年度の前半では、有限温度におけるカラー超伝導-常伝導相転移を、相転移点付近での有効理論であるSU(3)xSU(3)ヒッグス模型のモンテカルロシミュレーションにより研究した。このモデルは、スカラー場の結合について独立な2つの結合定数を持つが、それらの2次元平面内において、超伝導がそのような相構造をなすかについて詳細な解析を行った。その結果、通常の常伝導からCFL相への相転移のみならず、結合定数の非が1よりおおきくずれる場合には、常伝導->2SC相->CFL相という2ステップの相転移が起こりうる事を見出した。今年度の中盤には、これまで研究してきた有限温度QCDにおけるハドロンのスペクトル関数に関する短い総合報告をまとめた。今年度の後半盤においては、QCDハミルトニアンの準位密度を最大エントロピー法を用いて有限温度における分配関数の逆ラプラス変換として得る方法を提案し、その有効性について研究した。特に、実際の格子データを用いることにより、QCDの有限温度相転移の存在が、準位密度のハゲドロン的振る舞いと直接関係することを示した。また、有限温度密度におけるカイラル相転移とカラー超伝導相転移の競合過程を解析するために、対称性から許される最も一般的なギンツブルグ-ランダウ理論を構成し、その相構造を研究した。 更に、年度全体を通じて、クォーク・グルーオン・プラズマの基礎と応用に関する包括的総合報告となる欧文の著書を執筆し出版した。
|