2003 Fiscal Year Annual Research Report
重力系・宇宙・マクロ量子系への準平衡統計力学-加法性の無い構造の進化と統計-
Project/Area Number |
15540259
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森川 雅博 お茶の水女子大学, 理学部・物理学科, 教授 (90192781)
|
Keywords | ゼルドビッチ近似 / 量子ゼノ効果 / 自己重力系 / 重力フーリエ則 / 局所ビリアル関係 / アインシュタイン・ボーズ凝縮 / 暗黒エネルギー / 非加法性 |
Research Abstract |
1.ゼルドビッチ近似妥当性の考察(1番の文献) 従来、重力の作る構造の解析において広く使われきたゼルドビッチ近似が、なぜ有効なのかを理論的に解析した。特に系の空間次元に着目して、低次元ほど近似精度が高まることをデモンストレーションした。 2.外部観測者による量子ゼノ効果の非存在証明(2番の文献、及び現在投稿中) 量子力学が予言する量子ゼノ効果は、現在までのところ直接観測に対するものしか実験で確認されていない。その一般化として、間接観測に関する量子ゼノ効果が可能性であることを議論した。 3.自己重力系における、重力のフーリエ則、DT分布と局所ビリアル関係(現在投稿中) 自己重力多体系の「冷たい」初期条件からの崩壊において、速度分布の非ガウス的な普遍分布関数(DT分布)を見出した。これを自然に導く原理として、重力のフーリエ則を提唱した。一方、速度分散に関しても、局所ビリアル関係が一般に成立することを見出した。これらを組み合わせて、普遍的な密度分布を得て、これを観測と比較した。 4.アインシュタイン・ボーズ凝縮の宇宙モデル(研究会報告、及び現在投稿準傭中) 引力相互作用を持ったあるボソンが、アインシュタイン・ボーズ凝縮を起こして暗黒エネルギーとなる宇宙モデルを提唱した。負の圧力が、大局的には加速膨張を引き起こし、局所的には暗黒エネルギーの崩壊とブラックホール形成を促す。銀河中心に必ず大きなブラックホールが存在することと、銀河には離散的なジェットが付随することなどを示した。 5.重力の非加法性と裾引き分布関数(現在投稿中) 自己重力系が持つ基本的な統計的性質を、非加法性と裾引き分布関数に絞って考察した。特に、銀河のボイド確率が、さまざまな統計力学においてどのように表現されるかを考察し、観測と比較した。
|
-
[Publications] A Yoshisato, M Morikawa, H Mouri: "Negative skewness of pairwise peculiar velocity in the quasi-nonlinear regime : Zel'dovich approximation"Mon.Not.R.Astron.Soc.. 343. 1038-1044 (2003)
-
[Publications] M Hotta, M Morikawa: "Possibility of Quantum Zeno Effect for Distant Indirect Measurement"Physical Review A.. (発表予定)(未定). (2004)