2004 Fiscal Year Annual Research Report
バリオン間相互作用にもとづく超高密度星の構造についての理論的研究
Project/Area Number |
15540264
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
新村 昌治 岐阜大学, 工学部, 助教授 (50187572)
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Keywords | 中性子星 / バリオン間相互作用 / ハイペロン混合 / 高密度核物質 / 3体力 |
Research Abstract |
中性子星の構造のうち、その質量の大部分を担っている内部領域の構造について理論研究を行った。原子核の通常密度の0.5倍から5倍程度までのバリオン密度の領域に注目し、現実的なバリオン間の相互作用を用いて状態方程式を決定した。その結果、バリオン間の2体力のみを仮定する場合には、ハイペロン混合による状態方程式の軟化(ソフト化)のため、中性子星の観測事実(質量、半径)を説明できないことが明確になった。 通常核密度以上では3体力が重要となることに注目し、バリオン間の3体力の理論的モデル(一般化されたデルタ機構)を構築し、その効果を検討した。その結果、バリオン3体力は引力効果をもたらし状態方程式がソフトすぎるという状況は改善しないことが判明した。この成果は国際会議(HYP2003)で口頭発表され、報告集に近く発表される。また、バリオン間相互作用の妥当性を少数体系の性質から明らかにする研究の発表も行った。日本物理学会第59回年次大会(2003年3月)で同趣旨の発表を行った。 さらに、少数体原子核と通常核密度における核物質の研究にもとづく現象論的な短距離3体力を導入した。その結果、状態方程式は硬くなる方向に変化し、中性子星の質量と半径をほぼ説明できることが明確になった。この成果は国際学会(9th-APPC)で口頭発表し報告集が刊行される予定である。また、日本物理学会秋季大会(2004年9月)で同趣旨の発表を行った。 本研究において「平衡化されたG行列計算」のコードを開発した。これは、化学平衡とG行列計算の2重のself-consistencyを同時に考慮する計算コードであり、今後の研究に有用であると考えている。
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Research Products
(1 results)