2006 Fiscal Year Annual Research Report
重力理論におけるホログラフィー原理と弦理論の構成的定式化の研究
Project/Area Number |
15540269
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福間 将文 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10252529)
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Keywords | 量子重力理論 / 超弦理論 / ホログラフィー原理 / 非臨界弦 / 超対称性 / 行列模型 / ブラックホール / エントロピー |
Research Abstract |
超弦理論の構成的定式化を目的として、本研究では、『ホログラフィー原理』をguiding principleとしながら量子重力を記述すべき基本的力学変数の正体を解明することを試みた。一方で、自由フェルミオンを基本的力学変数とする『福間-矢彦沢型の非臨界弦の場の理論』を進展させた。 【ブラックホールのエントロピー関数】extremalなブラックホールのエントロピーが、ホライズン上のパラメーターのみによる関数(エントロピー関数)の極大値として計算できることが最近分かってきている。本研究では、この定式化がホライズン上の場の理論のくりこみ群の枠内で自然に理解できることを指摘し、さらに、extremalなブラックホールが固定点に対応すること、nonextremalな方向への摂動がrelevantな演算子による摂動としてとらえられること、などを示した。 【非臨界弦の場の理論と量子代数曲線】福間と矢彦沢によって構成された非臨界弦の場の理論を用いて、非臨界弦におけるD-インスタントン演算子のケミカルポテンシャルの物理的意味を考察した。 【タイプ0型非臨界弦の場の理論】近年、(世界面の超対称性を持つ)タイプ0型超弦理論が、行列模型の2-cut phaseで実現されることが分かってきた。本研究では、その手法を2-行列模型に適用し、一般の(p, q)ミニマル超弦理論に対する非臨界弦の場の理論を構成することに初めて成功した。これにより、世界面超対称性をもつ弦理論の非摂動効果について、系統的な解析が可能になった。 【ZZ-ブレーンの分配関数と超対称行列模型】非臨界弦理論におけるソリトン的配位はZZ-ブレーンと呼ばれるが、それは我々の非臨界弦の場の理論では、フェルミオンのbilinearとして具体的に構成することができる。本研究では、このZZ-ブレーンの分配関数が超対称的行列模型による記述を持つことを示した。この模型はdouble scaling limitをとる必要がないため、いわゆるKontsevichタイプの行列模型に対応し、超Riemann面のモジュライ空間の単体分割を生成することが期待される。またこの模型は、超対称行列模型が実際の非臨界超弦理論と対応がついた初めての例になっている。
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Research Products
(3 results)