2003 Fiscal Year Annual Research Report
中性子過剰核におけるN=20魔法数消失の実験的検証
Project/Area Number |
15540271
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
出水 秀明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50294153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 宇也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50190799)
下田 正 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70135656)
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Keywords | 不安定核 / 殻模型 / スピン偏極 / 中性子 / γ線 / スピン / 核分光 |
Research Abstract |
極端に中性子過剰領域の核では、中性子ハロー構造や、魔法数の崩れなどの新しい現象がみつかっている。このような現象を説明するために様々な理論が提唱されており、これらと比較可能でより詳細な実験データの蓄積が必要である。 本研究の目的は、核の高励起状態までのエネルギー準位を、スピンパリティを含めて明らかにすることで、魔法数の崩れに代表される不安定核の新しい性質を解明することにある。具体的にはスピン偏極不安定核からのβ遅発中性子、γ線を検出する。この遅発粒子のエネルギーから娘核のエネルギー準位を、強度からパリティを、同時検出されるβ線の非対称度からスピンを決定できる。 このユニークな方法により、これまで取り組んで来たN=8の魔法数が崩れているとされる、^<11>Liの偏極核からのβ崩壊の研究を推進し、さらにN=20系である^<28,29,30,31>Naの偏極核からのβ崩壊の測定を目指している。 本年度はN=8系の最終測定の準備として本研究費の補助により、●低エネルギーLiGlass検出器を増強し、100keV以下の中性子に対してほぼ3倍の検出効率を得た。 ●データ収集系の改良を施し、これまでの2倍以上のデータ収集効率を得ることができた。 また、TRIUMF側のビーム収量増強により昨年度の20倍の強度のビームが利用できるようになり、Na同位体についても充分な強度が得られることになった。 これらにより、来年夏期に予定しているビームタイムで必要な統計量を得ることが充分可能になった。来年度中にN=8系の^<11>Liの最終的な実験データを得ることができ、N=20系の測定も開始できる予定である。
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