弦理論における開閉弦双対性の厳密な定式化に関する研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15540273
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 中津 了勇 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10281502)
• Keywords: 開弦 / 閉弦 / Boundary state / BRST演算子 / Wilson loop / Gauge-gravity対応 / 弦の境界場理論

Research Abstract

非可換空間上のgauge場の量子論のUV領域における振舞いに関して考察した。非可換空間上の量子論に特有なUV/IR混合により、場の理論のUV領域の考察を通じて重力理論を捉え得る可能性が指摘されている。Wilson loopはgauge理論の局所観測量の母関数である。この理論において、一般のopen Wilson lineは閉弦の非常に重い(stringy)粒子状態の効果で直線が曲げられて実現されるという予想がなされた。この予想はgauge-gravity対応がWilson lineを通して実現されることを示唆している。D-braneのworld-volume上でこのgauge理論が実現されるとみなし、boundary stateを用いる閉弦描像によるD-braneの記述を発展させることにより上記の予想を証明した。
上の考察を超対称性を持つ開弦の場の理論に発展・適用することを目指して、boundary stateを用いた開弦の場の理論の厳密な構成を試みている。閉弦channelを閉じることで、我々の構成は弦の境界場理論(BSFT)と呼ばれる開弦の場の理論に対する新しいアプローチに帰着すると予想できる。具体的には、境界付きworld-sheet上の場の理論の短距離発散をpoint-splitting正則化して、繰り込み群の考察を用いた構成を行なっている。boundary stateに対する閉弦の(world-sheetの)BRST演算子の作用が、相互作用を正しく含む開弦の運動方程式を導出することを示し、その機構を明白にした。

Research Products

• [Publications] K.Murakami, T.Nakatsu: "Open Wilson Lines as States of Closed String"Prog.Theor.Phys.. 110. 285-384 (2003)
• [Publications] T.Maeda et al.: "Non-Linear Field Equation from Boundary State Formalism"hep-th10312260. (to be published).