2005 Fiscal Year Annual Research Report
弦理論における開閉弦双対性の厳密な定式化に関する研究
Project/Area Number |
15540273
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中津 了勇 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10281502)
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Keywords | 超弦理論 / 超対称gauge理論 / Gauge / 重力対応 / 3次元統計模型 / Calabi-Yau多様体 / 非可換時空 / 厳密解 |
Research Abstract |
非可換時空を用いることで8個の超電荷を持つgauge理論の分配関数の厳密な評価が可能になり、Seiberg-Witten解の第一原理からの導出が近年なされました。私たちはこのgauge理論を結晶の溶解を記述する3次元統計模型に写像できることを示しました。統計模型は5次元超対称gauge理論の厳密な分配関数を再現し、円コンパクト化の半径を0にする極限で4次元理論の厳密解に帰着します。超弦によるAdS/CFT対応や位相的弦によるlargeN双対性から見てとれるように、gauge理論と重力理論は十分な超対称性によって双対に成り得ると予想できます。実際、超弦を4次元にcompact化するCalabi-Yau多様体上にある重力理論と超対称gauge理論を記述するこの統計模型が等価である可能性を最近示すことができました。このことは超弦理論におけるgauge/重力対応(開弦/閉弦-双対性)を理解する上で重要になると考えています。Gauge/重力対応を厳密に記述することは近年の超弦理論の飛躍的進歩を確固とする上で急務です。その定式化は弦理論による宇宙項問題の解決においても重要な役割を果たすと思います。宇宙項は低エネルギー領域における問題ですから、弦理論で解決するためには、これを最終的には高エネルギー領域の問題に帰着させる必要があります。また、開閉弦の双対性で場の理論の高エネルギーの振舞いが低エネルギーの振舞いに写像されますから、弦理論における繰り込み群の概念、特に、universality仮説を吟味する必要があります。このような問題意識から文頭に述べました研究に取り組んでいます。Einstein重力理論が微分幾何学の言葉で語られるのと同じ意味で弦理論を定義しうる言葉の発見につながることを期待しています。
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Research Products
(3 results)