2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540277
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂本 眞人 神戸大学, 理学部, 助手 (30183817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷村 省吾 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90273482)
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Keywords | 超対称性 / 余剰次元 / ゲージ理論 / 階層性問題 / 対称性の破れ |
Research Abstract |
今年度は、余剰次元を持つ高次元ゲージ理論を主な研究対象とした。4次元時空は平坦としたが、余剰次元方向はより一般性を持たせ曲がった空間を対象とした。この系で特に注目したものは、素粒子理論に残された階層性問題に対する解決の機構が高次元ゲージ理論の枠組みの中に組み込まれているかどうかである。階層性問題とは、非常に大きさの異なる2つのスケール(例えば標準理論におけるweakスケールと重力におけるプランクスケール)が理由もなく混在する理論は不自然であるというものである。我々の立場は、標準理論に現れるweakスケールは高次元ゲージ理論に内在する何らかの機構によって、プランクスケールのような非常に大きなスケールから、treeレベルでも量子レベルでも安定に保持されるというものである。この方針に基づいて高次元ゲージ理論を考察した結果、余剰次元方向に非自明な空間計量、あるいは、ディラトン場が余剰次元方向に依存した真空期待値を持ち、それらがあるクラスの関数形を持つなら階層性問題は解決される可能性があることが示された。具体的には理論を指定するパラメータはすべてプランクスケールの値を持つにもかかわらず、ゲージ対称性の破れのスケールを指数関数的に小さくする機構を発見した。この発見に基づき、高次元ゲージ理論をより詳細に解析した結果、高次元ゲージ理論には量子力学的N=2超対称性が内在していることが一般的に証明された。フェルミオン場を含んでいるかどうかにかかわらず、この量子力学的超対称性が存在することは奇妙にみえるが、この超対称性は場の量子論的なボーズ粒子とフェルミ粒子の間の対称性を意味しない。その代わりに、4次元有効理論におけるスペクトラムの縮退の背後に隠れた対称性であると理解することができる。また、この超対称性の非摂動論的な破れが、上で述べた階層性問題の解決の機構を与えていることも明らかになった。
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Research Products
(2 results)