2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540286
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
青木 健一郎 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00251603)
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Keywords | 非平衡 / サーモスタット / 双対性 / 局所平衡 / 温度勾配 |
Research Abstract |
今年度は主に非平衡の物理におけるいくつかの根本的な問題に取り組んだ.非平衡の物理では計算機の発達とともに数値的なシュミレーションにより非平衡現象の現象論的解析が進んでいる.その一方,第一原理からの解析的な結果とシュミレーションの結果の関係が明らかでない場合が多い.J.Lukkarinen氏とH.Spohn氏とともにファイ四乗理論で温度勾配のある場合の輸送係数の運動論的な解析的計算結果と数値的な計算結果が一致することを示し,結合定数,質量パラメーターなどパラメーター依存性についても明らかにした.この成果についての論文は既に投稿され,現在査読中である.また,非平衡状況においては局所平衡が破れることが知られているが,これは決定論的なサーモスタットを使った場合にしか示されていなかった.非平衡状況その物がサーモスタットによって作り出されているので,決定論的でないストキャスティックなサーモスタットを使った場合にも起きるかは重要なポイントである.これについて解析し,局所平衡性の破れが一般的に起こり,その振る舞いも同じであることを示した.この結果については論文を校正中であり,近日中に投稿する.非平衡系内の温度は系のダイナミックスによって決まるが,それは一般的なスケーリング法則を満たしていることも解明した.この成果については現在論文を作成している. 超弦理論の近年の大きな発展はゲージ理論のダイナミックスの一部を双対性を通じて理解できるようになったことである.ゲージ理論の強い相互作用の物理が超弦理論の弱い相互作用の摂動論的な物理と双対性を通じて同値となるのである.双対性を用いてQCDに類似したゲージ理論においてどのような物理的なふるまいが予言されるか考察した.この点に関してはいくつか最近いくつかの結果が発表されているが,それらの正当性などについて分析をした.
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