2004 Fiscal Year Annual Research Report
短周期電場・磁場変調下の複合フェルミ粒子およびストライプ相の振る舞いの研究
Project/Area Number |
15540305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 彰 東京大学, 物性研究所, 助手 (20260515)
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Keywords | 平面超格子 / 複合フェルミ粒子 / 磁気抵抗振動 / ブラッグ反射 / 幾何学共鳴 / 2次元電子系 / 電子濃度 / ストライプ相 |
Research Abstract |
本研究の初年度にストライプ相を中心とする研究を行ったので、本年度は複合フェルミ粒子を主たるターゲットとする研究を試みた。充填率1/2付近の複合フェルミ粒子の軌道運動は、0磁場付近の電子の軌道運動にマッピングすることが可能である。そこで、1次元周期的変調下の複合フェルミ粒子の振る舞いに対する理解への基礎として、平面超格子において、0磁場付近での電子の軌道運動がもたらす磁気抵抗を詳細に調べた。測定した磁気抵抗の数値微分を行う、あるいは、新たに開発したロックイン測定法により磁気抵抗の磁場微分を直接測定する、等の手法により、よく知られた正の磁気抵抗が現れる0.03テスラ程度以下の低磁場領域で、磁気抵抗に新しい微細な振動が重畳されていることを発見した。温度、電子濃度、および、平面超格子の変調周期への依存性を詳細に調べることにより、この新たな振動は、超格子によるブラッグ反射の結果生じる開いた軌道の幅と、変調周期との幾何学共鳴によりもたらされるものであることが明らかとなった。原理的には複合フェルミ粒子に対しても同様の振動は観測し得ると推定されるが、本研究内では観測することは出来なかった。このような、超格子のミニバンド構造に起因する現象の観測には、ミニギャップが散乱によるぼけで閉じてしまわないという要請により、不純物等による散乱効果が十分に小さいことが必要とされる。複合フェルミ粒子は電子と比較して散乱に対してはるかに敏感であることが、この新しい振動の観測を妨げている原因であると考えている。 また本研究の実験的基礎となっている、2次元電子系に導入した変調の振幅が、電子濃度の増加により減少していることを見出し、それが2次元電子系の閉じ込め方向の厚みの変化で説明できることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)