2004 Fiscal Year Annual Research Report
キャビティ中の共鳴媒質による光学過程の微視的非局所応答理論
Project/Area Number |
15540311
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
張 紀久夫 福井工業大学, 工学部, 教授 (60013489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (60273611)
安食 博志 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (60283735)
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Keywords | テャビティポラリトン / グリーン関数 / 非局所分極率 / 自己無撞着解 / 音響光学 / ブラッグ散乱 |
Research Abstract |
共鳴光学応答に注目する微視的非局所応答理論において,誘起分極の非共鳴部分がキャビティを形成する場合を想定して,共鳴部分と非共鳴部分を共に十分考慮した定式化を,以前に行った1次元キャビティの場合から拡張して一般化した.この際,誘起分極を電磁場の定義に繰り込む部分と残りの部分とに分けるが,問題に応じて何通りかの分け方があり,それぞれに応じて電磁場の伝播を現すグリーン関数と残る分極の形の組み合わせを一意的に与えた.特に有用な場合として,キャビティ分極のほか線形の共鳴分極までを繰り込んだキャビティポラリトンのグリーン関数を定義し,キャビティポラリトンの非線形過程やフォノン誘起過程の記述が非常に見通しよくなることを示した.微視的非局所的な分極率が分離型積分核になっているためこのグリーン関数は解析的に与えられ,従来の常識と違って局所的な分極率を用いるより簡明になる.このグリーン関数を用いて,多層膜キャビティ中のQW(量子井戸)に一定波数の表面音響波を印加した系のブラッグ反射スペクトルが容易に計算できることを示した.この問題はIvanovらによって提起されたが,Q値無限大というモデルのため測定可能なスペクトルの計算は出来なかった.上記のグリーン関数を用いるとさまざまな次数のBragg反射スペクトルが容易に計算され,Ivanovらが予想した通り音響波励起という(電子的な共鳴励起に比べて)ずっと弱い励起にもかかわらず,大きな信号変化が特定の方向に現れることが示された.このような信号変化はキャビティポラリトンの上枝・下枝の鏡面反射・透過スペクトル,および+1,-1次のBragg散乱成分に現れるほか,キャビティの導波路モードからの寄与も余分なスペクトル構造として得られることが判明した.これについては第1報をレタージャーナルに投稿中であるが,さらに実用的な構造やパラメター条件等の最適化について検討中. この他に,共鳴Bragg反射器の応答スペクトルのサイズに応じた(超放射モードからフォトニックバンドへの)変遷について新たな解釈を検討した.以前に行った輻射補正項のサイズ依存の振動数依存性という解釈の他に応答係数のFeenberg分解を用いた書き換えによって新たな解釈が可能なことを示した. また,閉じこめ励起子準位の輻射シフトが各準位ごとに異なるサイズ依存性をもつため,サイズと共に準位の並び方が変化することをCuCl薄膜励起子に対して実験的に証明した.このようなサイズ依存性はかつてさまざまな系について我々が理論的に予測していたが,2光子共鳴散乱スペクトルの測定から始めて実験的に証明された.
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Research Products
(4 results)