2004 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴エコー法を用いた超イオン導電体におけるイオン機能の研究
Project/Area Number |
15540315
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 浩一 徳島大学, 工学部, 講師 (20284317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森賀 俊広 徳島大学, 工学部, 助教授 (90239640)
道廣 嘉隆 徳島大学, 工学部, 助教授 (00174061)
金城 辰夫 徳島大学, 工学部, 教授 (50035606)
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Keywords | フェノンエコー / LiNbO_3 / Li^+イオン拡散 / Li_xV_2O_5 / LiCuO_2 / NMR |
Research Abstract |
リチウム化合物におけるイオン拡散機構を明らかにするために,多結晶および単結晶LiNbO_3粉末におけるLi^+イオンの拡散挙動を,フォノンエコー法により調べた。46〜53μmの粒径に整えられたニオブ酸リチウムの多結晶および単結晶粉末試料を励起・検出用コンデンサに詰め,40MHzの高周波パルスを加え室温から900Kまでの温度領域でフォノンエコーを観測し,緩和時間T_2の測定を行った。フォノンエコーにおける緩和時間T_2の変化は粒子内部の内部摩擦の変化を意味しているため,緩和時間の温度依存性を調べた。測定温度域は室温から900Kである。400K付近から緩和時間は緩やかに減少し,800Kまで緩やかに減少したのち,急激なT_2の減少を観測した。これはLiNbO_3の粒子内部でLi^+イオンが運動することにより,内部摩擦が変化していることが考えられる。実際,本試料ではNMR測定やイオン伝導度測定から高温でLi^+イオンの運動の存在が示唆されている。Li^+イオン拡散が緩和時間に寄与する場合,デバイ型緩和を仮定すると,低温領域ではLi^+イオンのホッピングにともなう活性化エネルギーEと緩和率はT_2=Aexp(E/kT)で関係付けられる。今回の測定で得られた緩和時間から見積られる活性化エネルギーは約0.93eVとなり,これはNMRなどにより報告されている値と一致している。また、単結晶粉末では900Kまでの温度域でT_2の減少は観測できなかったが,これは単結晶で1.9eV程度の大きな活性化エネルギーが存在しているとする実験結果と一致している。以上の結果から,フォノンエコー法により圧電性固体中でのイオン拡散運動の観測が可能であり,本研究手法が超イオン伝導体のイオン拡散挙動を調べる新しい手段となりえることが分かった。 Li_xV_2O_5におけるNMR測定から,リチウム組成の変化にともなう活性化エネルギーの変化を明らかにした。高温ではこれまでにNMRによって報告されていない0.5eVを越す大きな活性化エネルギーを得たが,これはε,δ,γ相間の構造変化にともなうものである可能性を示した。 LiCuO_2では^7Li-NMR測定からLi^+イオンの拡散にともない0.19eVの小さな活性化エネルギーをもち,LiCoO_2に匹敵する高速Li^+イオン拡散状態が実現していることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)