2005 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー光誘起構造変化・価数変化現象のダイナミクスの解明
Project/Area Number |
15540321
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
望月 章介 日本大学, 文理学部, 教授 (20006159)
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Keywords | 光誘起現象 / フォトメモリー / 物質の光制御 / 量子常誘電体 / 希土類金属酸化物 |
Research Abstract |
「レーザー光誘起構造変化・価数変化現象のダイナミクス」に関して希土類金属酸化物Eu_2O_3のナノメートルサイズの粒子膜,量子常誘電体SrTiO_3を研究用試料として以下の研究を行った. (1)Eu_2O_3ナノ粒子膜 研究代表者が1999年に発見した焼結体,平滑膜の「紫外レーザー光の下での価数変化と酸素欠陥生成・消滅によって生ずる消去可能な紫外レーザー光誘起フォトメモリー現象」が系のサイズを小さくすると高速化されるのではないかとの着想を基礎に,Eu_2O_3のナノ粒子膜を雰囲気制御してレーザーアブレーション法により作製した.このナノ粒子膜をX線回折・走査電子顕微鏡観察によりキャラクタリゼーションした後,レーザー光誘起構造変化・価数変化現象の評価を行った.その結果,ナノ粒子膜は焼結体,平滑膜と同じくレーザー光誘起構造変化・価数変化現象を顕著に示す事が確かめられたが,現象の速度の高速化には至らなかった.現在,この原因を考察中である. (2)SrTiO_3 ベルヌイ法により育成されたSrTiO_3結晶は量子常誘電性,紫外光誘起誘電率異常増大,長残光性等を示し,これらはSrTiO_3の真性なげん晶であると多くの研究者が報告してきた.研究代表者は「ベルヌイ成長せられたSrTiO_3には種々の欠陥構造が存在し,この欠陥構造が種々の一見して特異であるという現象を発現している」との着想の下に,ベルヌイ成長された単結晶から透明結晶に至るまでの各段階でのX線構造回折,誘電率・電導度,光吸収,フォトルミネッセンス,紫外光誘起スペクトル変化現象等について系統的な実験を行った.その結果,複合欠陥(酸素欠陥構造Ti^<3+>-酸素空孔子-Ti^<3+>)がSrTiO_3の特異な性質を発現しているとの結論に至った.また,この物質の光誘起構造変化や価数変化現象のダイナミクスについても明らかにした.
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Research Products
(6 results)