2004 Fiscal Year Annual Research Report
極低温で異常熱電現象を示す化合物の伝導・熱物性マルチ測定
Project/Area Number |
15540335
|
Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
桑井 智彦 富山大学, 理学部, 助教授 (10251878)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 義和 富山大学, 理学部, 教授 (20143836)
水島 俊雄 富山大学, 理学部, 助教授 (50135000)
光田 暁弘 富山大学, 理学部, 助手 (20334708)
|
Keywords | 精密比熱測定 / 非フェルミ液体 / 極低温熱電能 / 強相関電子系 / 単結晶育成 / 極低温圧力下比熱測定 / 物質探索 / 熱伝導 |
Research Abstract |
本年度は,1K以下の熱電能S・熱伝導κの同時測定システムの開発・改良を主とした極低温域の輸送・熱物性研究の展開を目指して研究が進められた. S・κ測定システムの立ち上げ・改良は本年度半ばに完了したが,全投入熱量が試料に伝わることが不可欠なκ測定では,測定系のリード線などからの熱散逸の制御が難しく,現在さらに改良を進めている.Sに関しては,昨年度来のシステムトラブルが解決でき,国内唯一の技術を有する同システムの改良を進め,高精度測定が可能になった.特に,量子磁気揺らぎによる磁性異常を示すCeNi_2Ge_2系のSを0.15Kまで測定し,電子比熱係数γの降温に伴う増大と同様なS/T(Tは温度)の対数的増大を見出したことが大きな成果の一つである.この成果は平成16年12月開催の日本物理学会北陸支部会(富山大学)において発表され,さらに本年7月開催の「強相関電子系に関する国際会議(SCES'05:ウイーン工科大)」において発表予定である.また,東京都立大と連携の「スクッテルダイトPr化合物極低温域熱電特性」研究も昨秋から始まっている. その他,価数転移系Yb・Eu化合物の純良単・多結晶を用いた極低温電気抵抗・熱容量測定,高圧力下極低温電気抵抗・帯磁率・比熱測定システムの構築・改良が計画に従って行われ,平成16年9月開催の日本物理学会秋大会(青森大学)では,それらの研究成果発表を行った.価数転移系(Yb_<0.8>Y_<0.2>)InCu_4において,圧力下磁化測定で見出した2Kでの弱強磁性を圧力下比熱測定によって実証したこと,価数変動系EuPd_2Si_2の精蜜比熱測定により,その価数変動メカニズムを単サイト・インターサイト起源に分離できたことなどがその成果である.これらの測定を通して,各測定システムの測定量の信頼度が向上してきたので,今後は対象物質の範囲を拡げ,さらなる発展を目指す.
|