2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540340
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 耕作 京都大学, 理学研究科, 教授 (90013515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 浩章 京都大学, 理学研究科, 助手 (90311737)
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Keywords | 高温超伝導 / 有効質量 / 重い電子 / Hubbardモデル / d-Pモデル / 電子相関 / 異方的超伝導 |
Research Abstract |
本年度は科研費の最終年度にあたり、研究課題を総合的に検討した。 1.銅酸化物高温超伝導については転移温度決定の機構を詳しく検討した。一般に有効質量の増大因子の逆数である波動関数の繰り込み因子がエネルギー・スケールを決める上で重要であることが指摘されてきた。このことが重い電子系と銅酸化物で転移温度が2桁違う理由であると考えられてきた。今年度はこのことが銅酸化物系内部でも有効質量の違いによって転移温度を決定していることが確認された。具体的にはLa2-xSrxCu04系(LSCO)とYBa2Cu307系(YBCO)で転移温度が2倍程度異なるが(LSCO系の方がYBCOより低い)、その理由は次のように理解できる。d-軌道のエネルギーが高くd-ホール数が1に近いLSCO系では電子相関が強く働き、有効質量が大きくなる。このことは新開によってHubbard模型やd-P模型の有効質量を4次まで計算することによって確認された。さらに池田・新開によって自己エネルギーと相互作用をクーロン相互作用の4次まで入れて、Dyson-Gorkov方程式を解く計算が行われており、最終的な結果が近く出る予定である。 2.同時に重い電子系の超伝導やNaxCo02の超伝導について引き続き研究した。以上の結果、転移温度を定量的に計算する方法と、超伝導対称性を決定する方法について現在の理解を確立できた。ただし、自然は豊かであり、実験の進展によってより新しい理論の発展を促すことが期待される。
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Research Products
(4 results)