2003 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドアンビルセル中の高感度高精度磁化測定装置の開発
Project/Area Number |
15540341
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石塚 守 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (30184542)
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Keywords | 高圧 / ダイヤモンドアンビルセル / 振動コイル型磁束計 / 磁化測定 / 反強磁性体 |
Research Abstract |
数GPa以上の超高圧下でのX線構造解析実験や光学測定などにダイヤモンドアンビルセル(DAC)が広く用いられているが、DAC中の高精度な磁気測定は、検出コイルの配置に大きな制約があるため、一般に非常に困難である。そのため、多くの場合、検出の容易なキュリー温度や超伝導転移温度の測定に留まっている。本テーマは、われわれが開発を続けているSQUID振動コイル型磁束計の改良を行い、DAC中の反強磁性体の信号をさらに高感度・高精度に検出できるようにすることである。平成15年度は、従来の大きな課題であるノイズの低減と測定精度の向上を行うことが出来た。 [ノイズの低減] DACのクライオスタットへの脱着を容易にするために、従来、検出コイルのリード線の大部分はセロハンテープを使ってクライオスタットに固定してきた。そのため、固定が不十分になってリード線が不規則に振動し、ノイズ発生の大きな原因になることがあった。今回、リード線を再現性良く、しかも非常にコンパクトに固定するジグを考案し、一部を除いてセロハンテープによる固定をなくすことが出来た。改良の効果は大きく、SN比の良い信号が安定して得られるようになった。 [測定精度の向上] 従来、4K以下ではバックグラウンドが温度に反比例して大きくなり、低温での測定精度に問題があった。今回、バックグラウンドの大きな原因がアンビルを固定するエポキシ樹脂によるものであることがわかり、樹脂を変更することによりバックグランドの温度変化を大幅に低減することが出来、測定精度が大幅に向上した。さらに、ダイヤモンドアンビルに含まれる強磁性不純物もバックグラウンドとして無視できないことがわかった。これらの結果から、さらに低温-^3Heや^3He-^4He温度領域-での実験に目処をつけることが出来た。
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