2004 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドアンビルセル中の高感度高精度磁化測定装置の開発
Project/Area Number |
15540341
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石塚 守 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (30184542)
|
Keywords | 超高圧 / ダイヤモンドアンビルセル / SQUID / 振動コイル型磁束計 |
Research Abstract |
本テーマは、われわれが開発を続けているSQUID振動コイル型磁束計の改良を行い、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)中の微弱な信号をさらに高感度・高精度に検出できるようにすることである。今年度は、アンビルの機械的固定法と複合ガスケットの開発、そしてこれまでの研究結果のとりまとめを行った。 [アンビルの機械的固定] 銅ベリリウムのリングを用いてアンビルをピストンに固定する方法を開発した。検出コイルやガスケットの取付に支障がないように、小型のリングで非常にコンパクトに固定できるところに大きな特長がある。これにより、広く行われているスタイキャスト#2850による固定で問題になる磁気的バックグラウンドが解消された。さらに、樹脂の硬化時間や除去の手間などを考えなくても良いため、アンビルの脱着を短時間に行うことが可能になった。 [複合ガスケット] 一般に磁気測定には銅ベリリウムの非磁性ガスケットが使われるが、強度上その圧力上限は10GPa付近にある。超伝導体であるレニウムはメガバール域で使われるガスケット材であるが、4K付近から完全反磁性のテールが現れるために、これ以下の温度では使えない。われわれは、磁性は銅ベリリウムより大きいが強度の高いNiCrAl合金をアンビルの先端部分が当たる部分(力が最もかかる部分)のみに使い、これを支えるガードル(ガスケットの大部分の体積を占める)を全て銅ベリリウムで構成した複合ガスケットを開発した。これにより、磁気的には銅ベリリウム程度に非磁性で、強度的にはNiCrAlと同等のガスケットを得ることが出来た。 [30GPaまでの精密磁気測定] これまでの研究結果をまとめる意味で、成果に基づいたDACやクライオスタットを使って、これまで困難であった30GPaまでの磁性の圧力変化を調べる実験をCs_2CuF_4の試料で行った。その結果、20GPa付近で強磁性の消失を初めて観測し、また、バックグラウンドの大きさや再現性が大幅に改善された(大きさについては1桁以上小さい)ことを確認した。
|