2004 Fiscal Year Annual Research Report
多元化合物の高エネルギー励起スペクトルの理論的研究
Project/Area Number |
15540344
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡田 耕三 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70194355)
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Keywords | X線吸収スペクトル / X線発光スペクトル / 強相関電子系 / 角度分解光電子スペクトル / フェルミ・エネルギー |
Research Abstract |
Sr_2CuO_3型1次元結晶におけるCu 2p XPSと価電子スペクトルのキャリア・ドーピング依存性を厳密対角化法に基づく数値計算により調べた。その結果、Cu 2p XPSの低結合エネルギー端近傍の構造は,系に対するキャリア・ドーピングに対して極めて敏感であり、その低結合エネルギー端近傍2eV程度におけるスペクトルの形状は価電子スペクトルのフェルミ・エネルギー直下の構造とかなりの相似性を示すことを見出した。すなわち、Cu2pXPSの低結合エネルギー端近傍の精密測定から系のフェルミ・エネルギー直下の電子状態に関する知見を得ることができることを理論的に見出した。 1次元電子系Y_2BaNiO_5の酸素1s XAS、酸素1sXESを厳密対角化法により数値計算し,その電子状態について議論した。1次元鎖方向に分散を持つNi3d(3z^2-r^2)バンドは局在したNi3d(x^2-y^2)軌道との間にはたらく原子内交換相互作用(Hund結合)により、そのバンド幅が著しく狭くなっており、そのことが酸素1s XAS形状に反映される。一方、酸素1s XESの発光スペクトル(偏光ベクトルは1次元鎖方向に平行)に隣接Niサイト間でのスピン交換型励起による非弾性散乱ピーク、および電荷移動型励起による非弾性散乱ピークが観測され得ることを予言した。
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