2005 Fiscal Year Annual Research Report
多元化合物の高エネルギー励起スペクトルの理論的研究
Project/Area Number |
15540344
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡田 耕三 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70194355)
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Keywords | 共鳴X線非弾性散乱 / 強相関 / 内殻X線吸収 / 軌道縮退 / フント結合 / 電荷移動 / 非局所遮蔽効果 / 酸化物高温超伝導体 |
Research Abstract |
(1)Y_<2-x>Ca_<2+x>Cu_5O_<10>の酸素1s X線吸収スペクトル(O 1s XAS)、酸素1s共鳴X線発光スペクトル(O 1s RXES)のx依存性に関して詳細な理論解析を行った。その結果、正孔がドープされた結晶(x>0)では、正孔濃度により決まる周期性で結晶構造が歪み、ドープされた正孔自体は局在化しZhang-Rice一重項を形成していることがわかった。 (2)Sr_2CuO_3型の1次元銅酸化物に対する銅1s共鳴非弾性X線散乱スペクトル(Cu K RIXS)の理論計算を行った。特に、Cu3d電子軌道の軌道縮退効果を考慮した計算を始めて行った。その結果、この結晶構造の場合、RIXSスペクトルには電荷励起、軌道励起、スピン励起の3種類の励起が現れることがわかった。特に、Cu3d(3z^2-r^2)バンドから上部ハバードバンド(UHB)への電荷励起が無視できないことがわかった。また、この結晶構造においてCu3d(x^2-y^2)からCu3d(3z^2-r^2)へのdd励起が許容となる機構が明らかとなった。さらに、RIXSスペクトルの入射X線エネルギー依存性に関する実験事実を説明するためには,RIXS中間状態におけるCu3d-O2p間電荷移動効果を適切に考慮することが重要であることがわかった。 (3)NiOにおけるO 1s RXESにおいて、DSC (Double Singlet Creation)励起の存在を確認した。この励起は二つのNiサイトにおける高スピン状態が同時に低スピン状態へ転換されるという励起であり、Y_2BaNiO_5において観測可能であることが本科研費研究を通じて予言されていたものである。(J.Phys.Soc.Jpn.73(2004)1681)
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