2004 Fiscal Year Annual Research Report
層状ホウ化物高温超伝導体の多重秩序変数の磁場異方性と電子格子相互作用
Project/Area Number |
15540346
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浴野 稔一 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40185103)
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Keywords | 層状ホウ化物超伝導体 / 超伝導ギャップ / 電子格子相互作用 |
Research Abstract |
前年度に引きつづいでMgB_2の超伝導機構をさらに深く探るために、ポイントコンタクト接合法を用いて、電子対媒介相互作用スペクトルの測定を行った。中性子非弾性散乱のデータとの比較から、MgB_2の超伝導はフォノンによる電子対媒介に起因しており、特にボロンハニカム層における高エネルギーの面内振動が電子と強く結合することがわかった。なお、この方法でもギャップの多重性や強結合性など、低温裂開法と符合する結果を得ている。ところで、MgB_2の強結合は従来の金属間化合物において成り立つ半経験則では説明できない。なぜなら、この関係では、強結合は低エネルギーによって実現されるからである。これから、MgB_2の超伝導機構は軽量元素の高エネルギー振動が関与した新しいタイプの強結合超伝導体と考えられる。同様の結晶構造をもつNbB_2やCaAlSiについても、測定を行いMgB_2と比較した。まず,NbB_2では強結合超伝導であることが分かった。NbB_2の伝導帯は羊にニオブの4d軌道からなり、ニオブの欠損とともにボロンの2p軌道からの伝導帯への寄与が犬きくなることが予測されているが、NbB_2もMgB_2と同様な強結合超伝導体であり、両者の超伝導機構における共通要素として、ボロン軌道の伝導帯への関与が示唆される。一方、CaAlSiについても強結合超伝導体である事を明らかにした。この結果は光電子分光や比熱測定の結果と良く一致する。これらの研究から、MgB_2とその関連物質について、その最も基本的な特性であるエネルギーギャップおよび電子格子相耳作用について,従来型の超伝導の特徴とは異なる数々の新事実を明らかにした。現在,これらの関連物質のギャップの磁場異方性および電子格子相互作用についての測定を開始している.
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Research Products
(15 results)