2004 Fiscal Year Annual Research Report
Pr充填スクッテルダイト化合物における純良単結晶育成と重い電子超伝導の研究
Project/Area Number |
15540347
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
菅原 仁 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (60264587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 勇二 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (20231772)
佐藤 英行 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80106608)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / 強相関電子系 / 重い電子超伝導 / 熱電物質 / 純良単結晶 / 電子輸送効果 / 磁性 / 金属-絶縁体転移 |
Research Abstract |
充填スクッテルダイト型構造を持つ希土類化合物RT_4X_<12>(R=希土類、T=Fe,Ru,Os、X=P,As,Sb)で見られる種々の異常物性について、純良単結晶を用い研究を行いました。おもなものを整理すると以下のようになります。 1.重い電子超伝導PrOs_4Sb_<12>の磁性と超伝導 2.PrFe_4P_<12>の新しい高磁場秩序相の発見と高圧下での金属-絶縁体転移の発見 3.SmOs_4Sb_<12>のにおける特異な重い電子状態の発見 1.PrOs_4Sb_<12>については弾性定数の磁場依存性や非弾性中性子散乱実験等からPr^<3+>イオンの結晶場基底状態はΓ_11重項であることがほほ確定されました。また、このことから、従来から考えられていたΓ_32重項基底状態を基にした四極子近藤効果ではなく励起状態を考慮した重い電子状態形成機構を考える必要があることを示しました。一方、超伝導状態に関しては非弾性中性子散乱実験から超伝導状態でブロードな磁気励起ピークを観測し、この励起エネルギーが高磁場秩序状態で観測された反強四極子秩序に伴う磁気励起エネルギーに対応していることから、四極子揺らぎが超伝導に関与していることを示唆しました。また、中性子小角散乱実験から磁束格子が通常の三角格子からひずんでいることが明らかとなり、超伝導ギャップの異方性を示唆する新たな結果を得ました。 2.PrFe_4P_<12>に関しては<111>方向において新たな高磁場秩序相を発見し、このことから、これ迄、結晶場はΓ_32重項基底状態と考えられてきましたが、この物質についてもΓ_11重項基底状態の可能性が指摘されました。また、高圧下での電気抵抗測定からは金属-絶縁体転移を示すことが新たに明らかとなました。 3.SmOs_4Sb_<12>については新たに強磁性を示す重い電子系物質であることが明らかとなりました。興味あるのは、この重い電子状態はこれまでのCe化合物で見られる重い電子状態と異なり、磁場に鈍感であるということです。このことから、この物質の重い電子状態には軌道の縮重度が重要であることが示唆されました。 上記以外に、PrRu_4P_<12>やSmRu_4P_<12>の金属-絶縁体転移、SmFe_4P_<12>のdHvA効果と磁気抵抗、CeOs_4Sb_<12>の近藤半導体的振る舞いと低温秩序相等の研究。超音波、中性子散乱、メスバウアー効果、ラマン分光等による種々の物質のフォノン物性、あるいは光学的な物性測定が進行中でる。
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Research Products
(6 results)