2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540356
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
櫻井 吉晴 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I・非弾性散乱チーム・チームリーダー, 主幹研究員 (90205815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 悦嗣 日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (50343934)
伊藤 真義 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門II・分析チーム, 副主幹研究員 (10344392)
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Keywords | 強磁性超伝導体 / メタ磁性転移 / 磁気コンプトン散乱 / 軌道 |
Research Abstract |
UGe_2は超伝導と強磁性が共存する系として注目されている。特に、同物質において出現するメタ磁性的転移は、特異な超伝導発現機構と密接な関係があるとして、研究されている現象である。本研究では、磁気コンプトン散乱法により、メタ磁性的転移近傍における原子軌道別スピンモーメントの定量的な測定を行い、UGe_2のメタ磁性的転移の現象を解明することを目的としている。 常圧下での実験は、強磁性転移温度である52Kをはさんで、10Kから60Kの間で行った。45K以下の強磁性状態においては、スピンモーメントは滑らかに変化し、メタ磁性的転移近傍で大きな変化は確認されなかった。また、磁化測定で得られる全磁気モーメントの結果と組み合わせることにより、軌道モーメントとスピンモーメントを求めた結果、その比は2.2〜2.3で温度によらず一定であった。しかし、磁気コンプトンプロファイルにおいては有意義な変化が見つかった。 磁気コンプトンプロファイルの変化の紀元を解明するために、原子軌道モデルに基づいて磁気量子数別U-5fコンプトンプロファイルを計算し、このプロファイルを用いて実験プロファイルのフィティングを行い、UGe_2のスピンモーメントを磁気量子数別成分に分解した。フィテイングした成分比から、軌道モーメントの消失はないとして軌道モーメントをだし、軌道モーメントとスピンモーメントの比を見積もったところ、10Kでは2.52±0.10となり、実験により決定した値、2.22±0.10をほぼ再現した。 メタ磁性的転移点(T^*=32K)近傍でみられた磁気コンプトンプロファイルの変化は、磁気量子数m=1および2の成分の重みの変化によることが判明し、周囲のGe原子との混成状態の揺らぎが示唆された。 また、1.0GPaの圧力下でスピンモーメントの温度変化の測定を行った。この実験結果の解析は進行中である。
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Research Products
(2 results)